「サザエさん」とともに長年、日曜日夜の定番番組であり続けている「ちびまる子ちゃん」。今でこそ「サザエさん」と比較すると影が薄い感じもあるが、1990年代初めには「ちびまる子ちゃん」ブームが巻き起こるほど大人気だった。

アニメの最高視聴率は39.9%(1990年10月28日に記録)。また、同じ年に発売された主題歌「おどるぽんぽこりん」も150万枚以上を売り上げ、オリコンランキングで1990年度の年間1位に輝いた。

【OLウケはもちろん、おじさんの余興でも人気に】
「ちびまる子ちゃん」ブームの一番の特徴は子ども以外にも派生し、いろいろな世代から愛されたこと。もともとは少女マンガ誌「りぼん」で連載されていたものが、テレビアニメとして1990年から放送された。これをきっかけにOLやおじさんたちにもブームが派生したのだ。幅広い世代から支持を受けたのは少女マンガでは初めてといえる現象だった。
例えば、当時のOLはこぞって「ちびまる子ちゃん」のバッジやお弁当箱などの商品を買った。また、学園祭も「ちびまる子ちゃん」をモチーフにした出店が立ち並び、あの清原和博もファンイベントでまる子ちゃんのコスプレを披露したほどだ。さらにおじさんたちは余興で「おどるぽんぽこりん」を披露したりした。

【まる子は世の中を達観している―今の若者に似ている?】
では、なぜそこまでのブームになったのだろう。それを読み解くカギは従来の少女マンガとの違いにある。

それまでの少女マンガ、例えば「ベルサイユのばら」や「キャンディ・キャンディ」などは、ストーリーやキャラクターが圧倒的に作り込まれているものが多く、絵に関しても"上手"なものがほとんどである。

しかし、「ちびまる子ちゃん」は「りぼん」で連載していたにもかかわらず、それらの作品とはまったく異なる新しいタイプの内容だ。
ストーリーは小学3年生から見た日常が描かれており、恋愛などの"少女マンガの王道"的内容は皆無。しかも主人公のまる子は小学3年生ながら計算高くてどこか冷めており、シニカルな視点の持ち主だ。さらに絵においてはいわゆる"下手ウマ系"。
しかし、これらの従来の少女マンガと正反対のスタイルゆえに多くの人から愛された。
どこか冷めているまる子のキャラは独特のリアリティがあり、大人からも共感されたし、"下手ウマ"な絵はどこか可愛げがあってちびっ子たちからも人気が出たのだ。

今もなお安定して人気があるのは、昔と今で変わらない共感を老若男女から得ているからだろう。特に最近は、世の中をどこか達観して熱くならない若者が増えているという。彼らのそんな姿勢はまる子と共通する部分が大いにあるのではないだろうか。
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(さのゆう)
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