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結局のところ、ぼくらは放射能汚染で死ぬんでしょうか?〈祝・星雲賞 鹿野司インタビュー〉part3

2011年8月25日 10時00分 ライター情報:とみさわ昭仁

『サはサイエンスのサ』鹿野司/2010年 早川書房)
本書は『SFマガジン』誌上にて好評連載中の同名記事からより抜きし、加筆修正を加えた科学エッセイ集。クローン技術に対する誤解や、科学と宗教の共通点について、エコロジーの真実、果ては人間の心のありように至るまで、科学という枠を越えてテーマは多岐に渡る。たしかな科学的知識と、著者特ならではの独自すぎる視点は、これまでの思い込みを気持ちよくくつがえしてくれるはず。表紙イラスト、および本文カットは著者の盟友とり・みき。

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合理的に達成可能な範囲で対応すること


──結局のところ、ぼくらは放射能汚染で死ぬんでしょうか?
鹿野 そりゃ、人間いつかは死ぬけどね(笑)。オレはまったく気にしてません。放射能というか、セシウム牛が食卓に出ても、黒毛和牛うめ~って普通に食べますよ。
──えーっ。鹿野さんはハッキリ言う人だから、答えもある程度は予想してましたが、それにしてもずいぶんズバリと。
鹿野 さっきも言ったように、オレは頭おかしいから(笑)。ただ、それを誰にでも押しつけるつもりはなくて、たとえば、小さい子供を持つ親御さんの心理としては、不安になるのは当たり前だよね。とくに、東京とかのお母さんは家庭内で孤立しがちだと思う。一生懸命にニュースを追って怖い情報ばかり見つけて、子供に「砂場で遊んじゃいけません」とか言うわけじゃない。でも、子供は親離れしかけてるから、言うこと聞きゃあしない。それで、お父さんに相談すると「えー大丈夫だろう?」とか言われちゃう。すると、お母さん超さびしいわけね。
──超さびしいですねえ。
鹿野 そうするとさ、グレちゃうのね。で、自分の気持ちをわかってくれる「放射能ちょう恐いよね」って言いまくってる人たちの情報に吸い寄せられていく。それが話をこじれさせる原因のひとつだと思うんだよ。あとね、子供への影響についても、オレはそんなに怖いことが起きるとは思ってないんだよね。
──そうなんですか?
鹿野 うん。少しややこしいかもしれないけど、個人のレベルで怖がるべき怖さと、社会が公衆衛生としてリスクをどう考えるかってことは、まったく別のことなんだよね。これは世間的にはあまり理解されてないかんじだけど、きちんと自覚的に区別しないと混乱しちゃうと思う。
──ははぁ。
鹿野 放射線被曝の研究では、広島長崎の被爆者全員を対象にした生涯の寿命調査がいまも続けられていて、それが世界でもっとも真実に迫ることができるデータなんだよね。でも、そのデータを使っても、100ミリシーベルト以下の被曝では、普通の人と発ガン率の区別はつかなくなっちゃう。で、この領域のデータに、大人と子どもの区別もないし。こんだけ低線量になると、被曝がもとでガンになる人が仮にいたとしても、あまりに少なくて見つけられないんだよね。それで、いま日本で100ミリシーベルトを浴びてる人なんて(福島の現場作業員を除いては)存在しない。

ライター情報

とみさわ昭仁

1961年生まれ。ゲーム開発、映画評論、コレクター研究、古本屋店主、スカジャン制作、DJなど。神保町特殊古書店マニタ書房は、不定休で週のうち半分くらい営業。

URL:akihito tomisawa index

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