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編集スキルは特別なものじゃない、因数分解できます<『はじめての編集』菅付雅信インタビュー前編>

2012年1月30日 11時00分 ライター情報:田島太陽

『はじめての編集』アルテスパブリッシング/菅付雅信
全容を把握しづらい編集という行為を「企画を立て、人を集め、モノをつくること」と定義付け、その要素を「言葉・イメージ・デザイン」に分解し、菅付さんの経験談を交えながら解説される編集のガイドブック。専門用語や校正記号を解説する本は数多くあるが、その仕事の中身を丁寧に解説し、技術論としてまとめられている。また、「最古の編集物」と言われるメソポタミアの壁画から現在にいたるまで、編集物がどのような変遷を経て進化してきたのかも振り返られ、時間が経ても変わらない編集物の本質も知ることができる。一般の人が編集スキルを身につけるにも、プロの編集者が今までの仕事を精査し直すのにも、ぴったりの一冊だ。

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ブログ・Twitter・Facebookなどのツールは、それぞれが文章を書き、写真を選んで更新する。学生でもOLでも日常的なこの行為が、編集だ。数年前までは書籍や雑誌編集に関わる人だけが名乗れた「編集者」という肩書きはとても一般的なものになり、むしろ編集に関わらない人のほうが少ない世の中だ。そしてこれらのツールを通じてアピールすれば、あらゆるチャンスを掴める時代にもなった。
では、編集とはなにか? どうしたら上手になるのか? その疑問に答えてくれるのが『はじめての編集』(アルテスパブリッシング)だ。過去に「コンポジット」「インビテーション」「エココロ」など数々の雑誌で編集長を勤めてきた著者の菅付雅信さんに、執筆の経緯やこれからの編集のあり方を訊いた。


編集者は3つのことに詳しければいい

ーー菅付さんはアートもファッションもカルチャーも、幅広く手がけられています。ご自身の意識として得意分野ってあるんですか?

菅付 それが、ないんですよ。編集という行為が得意なだけで、他にはなにもない。料理人で言うとそば屋でも寿司屋でもトンカツ屋でもなく、僕は創作和食を作っている感覚です。

ーー分かりやすい例えですね!

菅付 素材を調理して美味しく食べやすくするのが料理で、素材を生かして面白いものを作るのが編集ですよね。だから料理と編集はすごくよく似ているんです。でも世間的に、なぜか編集は分かりにくいと思われてますよね。

ーー僕も友達によく「どんな仕事なの?」って聞かれるんですけど、うまく答えられなくて。

菅付 そう、説明するのも難しいんです。でも自分の仕事が世間で理解されていないというのは、あまり嬉しいことではない。しかも文章論やデザインに関する本はたくさんあるのに、編集を解説する本もほとんどない。やっと見つけたと思ったら校正記号が載ってるだけとかね。

ーー編集者のインタビュー集はたくさん読みましたけど、こういった本は珍しいですよね。

菅付 インタビュー集も参考になるけど、「才能があったから」「人脈があったから」という感想に落ち着きがちで、ただの精神論になってしまうこともある。でも編集のセンスってノウハウの蓄積で、因数分解できる技術なんです。この編集物が優れているのは、タイトルがいいのか、デザインがいいのか、写真がいいのか、その組み合わせがいいのかと分析できる。だから編集を技術論的に分解してパーツごとに提示することで、誰でも読めるガイドブックにしたかったんです。

ライター情報

田島太陽

ライター/編集者

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