今注目のアプリ、書籍をレビュー

0

MASTERキートンが「ビッグコミック・オリジナル」に帰ってきた!

2012年3月30日 11時00分 ライター情報:杉江松恋
このエントリーをはてなブックマークに追加

MASTERキートンが帰ってきた!「ビッグコミック・オリジナル」2012年4月5日号

[拡大写真]

平賀=キートン・太一が「ビッグコミック・オリジナル」に帰ってきた!
この報に胸を熱くしたファンは多いはずである。コミックスも一時は品切れ状態になっていたが(事情は各自調査!)、2011年8月から『完全版』の刊行が開始された。そうか、あれは連載再開に向けての伏線だったのか、と納得した次第。
もしかするとご存じない方がいるかもしれないので、一応基本情報だけさらっておこう。『MASTERキートン』は「ビッグコミック・オリジナル」にかつて連載された作品で、作画は浦沢直樹、原作を勝鹿北星(きむらはじめ)が担当している。またコミックスでは後に小学館の編集者だった長崎尚志が編集担当者としてクレジットされるようになった。再開された『MASTERキートン Reマスター』ではその長崎がストーリー担当である。
主人公の平賀=キートン・太一は、動物学者の父親とイギリスの旧家出身の母親の間に生まれた。両親は離婚しているが(そのエピソードを綴ったのが「遙かなるサマープディング」である)、自身も離婚の体験者で、娘の百合子からは父の太平ともども「平賀家の男たちのだらしなさ」に呆れられている。太一は考古学者だが教員職には恵まれず、各大学の非常勤講師を転々としている。むしろ主要な収入源は副業であるイギリスのロイズ保険組合の調査員仕事だ。イギリス国籍を持つ太一は、志願して陸軍に入隊していた時期があった。特殊空挺部隊(SAS)に属したこともあり、身の回りにあるものを利用して闘い、生き延びるというサバイバル技術の専門家でもあるのだ。
普段はインテリの優男にしか見えない太一が、実はどんな荒くれ者よりも逞しく、強いという意外さが、このキャラクターに輝かしい個性を付与している。平賀=キートン・太一は二面性の男だ。イギリスと日本、研究者と軍人、知性と武力、優しさと強さ、娘に甘い父親と孤独な私立探偵といった二項対立が常に読者の前に明示され、各話のプロットにもそれが活かされるのだ。特に多義的に用いられているのが、題名にもあるMASTERの一語である。研究者としての彼は修士(MASTER)で、学位論文を書いて博士号を取りたいという目標を持っている。軍人としての彼はSASの教官(MASTER)を務めていたが、かつて師にあたる立場だった人から「プロフェッサーにはなれないな。戦闘のプロとしては甘すぎる。せいぜい達人(マスター)どまりだ」と弱点を指摘されたこともある。

ライター情報

杉江松恋

1968年生まれ。小説書評と東方Projectに命を賭けるフリーライター。あちこちに連載しています。

URL:Twitter:@from41tohomania

コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!

注目の商品