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ビートルズ全米進出を阻んだのは「上を向いて歩こう」だった!?

2012年7月25日 11時00分

ライター情報:近藤正高

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香月利一編『ビートルズってなんだ? 53人の“マイ・ビートルズ”』講談社文庫(1984年刊、現在版元品切れ)
1966年のビートルズ来日から1980年のジョン・レノンの死までのあいだに、日本の著名人たちがビートルズについて書いたあまたの文章を再録した本。その執筆者は、寺山修司、安倍寧、水野晴郎、星加ルミ子、藤島泰助、阿木翁助、北杜夫、大佛次郎、遠藤周作、石津謙介、いいだもも、小汀利得、青島幸男、野坂昭如、なだいなだ、富岡多恵子、草森紳一、林光、安達元彦、竹中労、三橋一夫、浅井慎平、草野心平、淀川長治、鈴木志郎康、白石かずこ、佐藤信、大藪春彦、植草甚一、谷川俊太郎、河村要助、三木卓、和田誠、大森一樹、萩原朔美、矢吹申彦、三上寛、石坂敬一、横尾忠則、松尾翼、及川正通、虫明亜呂無、永六輔、飯村隆彦、木村東介、村上龍、宇野亜喜良、長新太、真鍋博、灘本唯人、粟津潔、山藤章二、山川健一と、日本のポップカルチャー史そのものを見るような顔ぶれだ。

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このところ、雑誌でビートルズ特集が組まれているのをちらほら見かける。「サライ」が6月号で「ビートルズは、やめられない」と題して、加山雄三(ビートルズとは来日時に一緒にすき焼きを食べた仲)などへのインタビューを掲載したほか、「PEN」7月15日号でも「ビートルズが聴こえてくる」という特集が組まれた。同特集では全アルバムの解説や、ビートルズの故郷、イギリス・リバプールのガイドなど基礎知識をきっちり押さえる一方で、アルバム「アビイ・ロード」のジャケット写真でビートルズの着たスーツをつくった人物にスポットを当てているのがいかにも“男たちのデザイン生活を刺激するクオリティマガジン”を謳う同誌らしい。

それにしてもなぜいま、ビートルズなのか? と思ったら、彼らのレコードデビューから今年でちょうど50周年を迎えるのですね。これに加えて、今週金曜(日本時間では土曜早朝)に迫ったロンドン・オリンピックの開会式では、ご当地の大物ミュージシャンとしてビートルズの元メンバーであるポール・マッカートニーが出演予定だったりと、イベントも目白押しだ。

この記事ではビートルズについての本を何冊か紹介したいと思ったのだが、考えてみたらビートルズについてはもはや一大ジャンルをなすほど膨大な関連書籍が刊行されている。とてもじゃないけど、それらをすべてカバーすることはできない。というわけで、ここはテーマを「ビートルズと日本人」に絞り、その実、私の独断と偏見で選んだビートルズ本を何冊か紹介してみたい。

まずは自分が10代の頃に読んだビートルズ本を何冊かこの機会にあらためて集めてみた。たとえば香月利一編『ビートルズってなんだ? 53人の“マイ・ビートルズ”』。副題が示すとおり、53人の日本人によるビートルズに関する文章やイラストを集めたものだが、そのラインナップを再見したところ、日本のポップカルチャーを代表する人物たち(画像キャプション参照)がずらりと並んでいて驚いた。私はビートルズの本を通じて、知らず知らずのうちに日本のポップカルチャーの歴史をも学んでいたのかもしれない。ちなみに本書所収の文章のなかで私がいちばん気に入っているのは、上野の古美術店「羽黒洞」主人の木村東介による「ジョン・レノンと歌右衛門」という一文。これはビートルズ解散後にジョン・レノンがお忍びで来日して羽黒洞を訪れた際の話なのだが、当初、外国人が浮世絵を見て何がわかると思っていた店主が、しばらくジョンと話すうちに打ち解けていく様が面白い。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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