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金正恩と奇跡の再会。金正日の料理人、藤本健二「ひるおび!」連続出演中

2012年8月23日 11時00分 ライター情報:杉江松恋

『金正日の料理人 間近で見た権力者の素顔』藤本健二/扶桑社

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なんの気なしにテレビをつけたら藤本健二氏が映っていた。居ずまいをただし、何を話しているのか耳を傾ける。なんと11年ぶりに、金正恩第一書記と再会を果たしたという。8月22日から3日間連続、TBS「ひるおび!」に出演してその模様を話すとのことだ。急いで録画予約の準備をした。

藤本健二氏は自身の意志で1982年に北朝鮮に渡った。やがて金正日の目にとまり、1989年からは専属の料理人として傍に仕えるようになる。その際金正日の次男・正哲、正恩の遊び相手も務めた(2003年にマスメディアに登場し始めたころ、正恩ではなく正雲と漢字表記を伝えていた。これは朝鮮語の発音に関連した勘違いだったと後に訂正している)。著書によれば、金正恩から煙草をねだられたことも多かったという。正恩は指導者としての教育を受けていたため、イメージを重視して表向きは喫煙を禁じられていたのである。

2001年、藤本氏は現地で娶った妻と子供を置いて北朝鮮を出国、日本への帰国を果たす。氏はそれまで食材買い付けのために何度か日本に帰国していたが、その際に公安警察関係者と接触していたことが露見し、スパイ容疑をかけられていたのである。以来藤本氏は、いつ北朝鮮から危害を加えられるかわからないという恐怖の下で暮らすことを余儀なくされ、マスメディアに出演を果たす際にもターバンとサングラスで変装を続けていた。藤本健二も仮名である。

「ひるおび!」初日の番組内容によれば、藤本氏が日本国内で北朝鮮からの使者と接触をもったのは今年の6月16日のことだった。その人物は、北朝鮮国内で藤本氏と会ったこともある人物で、当事者でなければ知りえない情報を携えていたという。北朝鮮に残してきた妻と子、そして誰よりも金正恩第一書記その人が会いたがっていると聞かされ、藤本氏は渡朝を決意する。
7月22日、前日から平壌市内の第8宴会場内に宿泊していた藤本氏は、金正恩第1書記と同伴の女性との面会を果たした。そのリ・ソルジュという名の若い女性を金正恩は「新しい国母」であると紹介している。これまで外国メディアが金正恩夫人の名を李雪主(リ・ソルジュ)であると報道したことがあるが、藤本氏訪朝によって事実であると確かめられたことになる。公開された写真により、会見の場には金正日の義弟(妹・金敬姫の夫)である張成沢(党中央委員会政治局委員)が同席しているのが確認されている。
会見の場で金正恩は藤本氏に「藤本さん」と日本語で呼びかけ(過去の呼称は「藤本」で尊称をつけたことはなかった)、「過去の裏切り行為は水に流す」とした上で、「これからも二つの国を行き来すればよい」と語った。

ライター情報

杉江松恋

1968年生まれ。小説書評と東方Projectに命を賭けるフリーライター。あちこちに連載しています。

URL:Twitter:@from41tohomania

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