金曜の「崖の上のポニョ」おもしろかったねー!
ぽにょーー!っつて、海ざぶーーーん、ちびポニョどーーーんぴゅぴゅー! ハムうまーらーめんうまーーーっつふにゃふにゃおやすみー! わーい!
いやー、すごい。
というわけで、「崖の上のポニョ」堪能したあとに大オススメを3つ、とくに水の描写がすごい作品を選んでみました。


ひとつめ!
「パンダコパンダ」!!!!
1972年の高畑勲・宮崎駿コンビのアニメーション。
パンダのパパのパパンダがトトロっぽいので、トトロの原型だって言われるけど、それよりもっとポニョの原型っぽいアニメ。
人間のミミちゃんと出会って、すぐに「すきーーー!」ってなるところ。
コパンダが日本語話しても、ミミちゃんすんなり受け入れるところ。
部屋に入ると、まずお茶にするところ。
「崖の上のポニョ」を連想するシーンがいっぱい。

そして、きわめつけは「パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」の洪水シーン。
大雨が続いて、大洪水。
町が水没しちゃうシーン、これまるっきりポニョ!
すみきった綺麗な水で、魚までも泳いでる。
流されたり壊れたりせずに町がひっそりと水没している光景は、ポニョそっくり。
ミミちゃんとパンダたちは、困ったりしなくて、わーい!とか喜んじゃって。
パパンダは、
「これは素敵だ、素敵な洪水です」
なんて言うの。

鉢植えも流されずそのままになってる不思議な水没。
ポニョと宗介はポンポン船で母親を助けにいくけど、ミミちゃんとパンダちゃんたちは、ベッドの船でトラちゃんを助けに行く。
後半もぶっとんでて、蒸気機関車が蒸気をあげながら水の底を暴走しちゃうトンデモなさ。
でも、絵本のようなタッチの絵だから、おそらく誰も「わからない!」とか言わない。
ポニョも、こんな感じで受けとめればいいんだなって、よくわかる作品です。
DVDには「高畑勲・宮崎駿対談 in 1994」も収録。


ふたつめ!
「ソハの地下水道」!!!
9月22日、いよいよ日本劇場公開!!!
舞台は、ナチス・ドイツに支配されたポーランド。
主人公は、地下水道修理工のソハさん。泥棒なんかもやってるけっこう悪党なんだけど、ユダヤ人たちを地下水道にかくまうのだ。
っつても、当局に報告するよりユダヤ人たちから金をせびったほうが儲かるぞって感じの悪党っぷり。
迷路のような地下水道のリアリティがすごい。さらに大雨で、地下水道にドシャドシャ水が流れ込んで大ピンチになるシーンの息苦しさと緊迫感、閉塞感、すさまじい。

映画を見終わって外に出た瞬間、「ぷはーーーっ」って思わず大きく息を吐いちゃったもの。観ているあいだ息苦しい、でも魂をギュッとつかまれる大傑作。
善人か悪人かという単純な人間描写を排して、冷徹に描くスタイルにしびれる。

みっつめ!
「海獣の子供」!!!!
五十嵐大介の漫画作品。全5巻、完結!
少女・琉花と、ふたりの少年・海と空の海洋冒険譚。
漫画という静止した絵で、これほど海や空をダイナミックに描けるとは! 読み始めると絵に没入してしまう圧倒的な表現力。

1巻。自転車に乗ってるうちに激しい雨になっていく描写。
“道路が
川になってる……
スカートが
重い……
そうか
この感じ……
泳いでるのと
そっくりなんだ
……”
ああ、絵をみてほしい。
そしてラスト5巻!
前回の記事でポニョについて、“生も死も理屈も非理屈も過去も未来も現実も寓話も老いも若きも渾然一体となった薄明の天地の境も定かじゃない世界が、後半のシーンなのだろう”と書いた。
ラスト5巻の海底シーンが、まさに同じ。
海、空、ありとあらゆる魚、命、宇宙! すべてが渾然一体となって誕生するシーンを、五十嵐大介も理屈ではなく絵で描いた。

老境に入った駿のじじいパワーが炸裂しているのが「崖の上のポニョ」ならば、これは、強靱な想像力を炸裂させた五十嵐大介版ポニョ!
圧倒的な海底と宇宙を体験してみてください。

以上、金曜の「崖の上のポニョ」を観た後にオススメの3作品「パンダコパンダ」「ソハの地下水道」「海獣の子供」を紹介しました。(米光一成)