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「あしたのジョー」の「まっしろな灰」はラストシーンじゃなかった「ちばてつや原画展」

2012年11月20日 11時00分 ライター情報:オグマナオト
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「デビュー55周年記念 ちばてつや原画展」
『あしたのジョー』を中心にちば作品の伝説のシーンの数々が原画で蘇ります。(C)高森朝雄・ちばてつや / 講談社

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マンガ史上に残るラストシーンといえば……?

こう聞かれて『あしたのジョー』を思い浮かべるのは私だけではないハズ。
リングサイドで静かにうなだれ、でもどこか満足げに微笑む矢吹丈の姿と、「燃えたよ……まっ白に……燃えつきた……まっ白な灰に……」という名台詞。『あしたのジョー』を読んだことがなくとも、多くの方が見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
でも、実はこの「まっしろな灰」という有名な台詞は、ラストシーンには描かれていないのです。最終話の中には登場するものの、別なコマ割りの中で使用されています。

ウソだと思った方は今すぐ池袋へGO!
17日~27日まで池袋の西武池袋本店・別館2階の西武ギャラリーで開催されている「デビュー55周年記念 ちばてつや原画展 ~あしたのジョー原画100選~」で、『あしたのジョー』をはじめ、ちばてつや作品の原画の数々を堪能することができます。

「あしたのジョー原画100選」のタイトル通り、『あしたのジョー』コーナーは特に充実。高森朝雄(梶原一騎)の指定をいきなりくつがえし関係者を慌てさせたという曰く付きの第一回、力石との少年院での出会いと生死をかけた死闘。「まっ白な灰」という最終回への伏線となる紀子とのたった一度のデート。そしてホセ・メンドーサとの世界タイトルマッチが決着を迎える最終回……『あしたのジョー』を語る上で欠かせない伝説のストーリーを、それぞれ原画で読むことができる幸せ。そして、やっぱり台詞がなかったラストシーンをここで確かめることができます。
でも、この原画で真に気づかされるのは台詞の有無ではなく、重ねられた「ホワイトの痕跡」。ジョーのまさに「まっ白に燃え尽きた」姿を表すための余白への徹底したこだわりこそが、「まっ白な……」という台詞がここにあったと錯覚させているように思えてなりません。

この展覧会と同じくデビュー55周年を記念して出版された『ちばてつや--漫画家生活55周年記念号』の中に、ちばてつや先生のこんな言葉があります。
《編集の人によっては「これ、ずいぶん時間をかけて直していたけど、読者が見ても誰も気がつきませんよ」と怒るんだけど、私は「ここに1コマ、枯れ葉を1枚描きたい」とかね。ストーリーには関係ないんですよ。だけど、そこにフッと何でもない枯れ葉を1枚、「捨てゴマ」って言いますけれど、それを入れるのと入れないのでは何か違うんですね。「間」というか「タメ」ができる。

ライター情報

オグマナオト

福島県出身。『週刊野球太郎』『web R25』を中心にスポーツネタ、野球コラムを寄稿。構成した本に『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』『福島のおきて』など。

URL:Twitter:@oguman1977

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