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青春>超能力。中学生の行き場のない説明もできない悶々『モブサイコ100』

2012年12月26日 09時50分

ライター情報:たまごまご

話題の『ワンパンマン』原作者ONEが描く新作『モブサイコ100』は「裏サンデー」で無料連載中。初めて見る人だと驚く個性的な絵柄と、独特な緩急激しいテンポ。超能力者の中学生が抱える悶々を叩きつけたこの作品、いつの間にかクセになって読んでしまう。

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「モブ爆発まで ○○%」
本のあちこちに書かれたこの文字が、否が応にも不安を煽ります。
何の爆発だ、何のカウントダウンだ。
全く感情を表さない少年、「モブ」こと影山茂夫の中に何かが、溜まっていく……。
今非常に話題になっている『ワンパンマン』の原作者、ONEによるマンガが、『モブサイコ100』です。
 
表紙がかっこよいのですが、それで買うと腰が抜けるはずです。
作者ONEの描くマンガの絵は、上手ではない。
いろいろなところで絶賛されているマンガなので期待する人も多いと思いますが、開いて腰が抜けるほど。商業のマンガとは思えない域です。
ここでつまづいてしまう人がいても仕方ないなと思うくらいには異質です。
 
でもこのマンガ、読んじゃうんだよ。
続きが気になるヒキがおおい!とかではない。アクションバトルが息もつかせない!とかでもない。
今までのダイナミックな展開のマンガと明らかに何か違う。
淡々とした物語の流れ。ギャグの詰まった話の展開。そこから蓄積し、一気に破裂する主人公の鬱屈。
『ワンパンマン』が友情も勇気も正義も何もかもをワンパンチでぶっ壊してしまうやりきれなさみたいなものを湛えているとしたら。
『モブサイコ100』はそういう無敵の力を持った超能力者が、感情をどう表現すればいいいか判らず迷走する話です。
答えなんて無いんですよ、超能力者なんてそもそも他にいないんですから。中学2年生ですから。
ここに描かれるのは世の中の理不尽と、その中でモヤモヤを溜める主人公モブ。蓄積していくストレス。
荒々しい絵の持つ勢いには、理屈で抗えない妙な力があります。
だから目が離せないのです。
 
主人公の「モブ」影山茂夫は、目つきが悪く寡黙、話すときは常に敬語のおかっぱ少年。
多々出てくるキャラクターの中で最も無感情に見えます。
でもそれは見えるだけ。実際は心の中で「恋をしたいな」など、いたってフツウの事を考えているフツウの少年です。
ただし、超能力者だということを除けば。
 
このマンガらしいところの一つが、超能力者であることを彼は隠していないのに、周囲はちっとも気に留めてもいない、ということ。
すごいことなんですよ。犬を浮かせたりスプーンを曲げたり除霊をしたりなんて朝飯前。
指先ひとつで幽霊なんてチョチョイです。表情一つ変えません。
けれども、特に誰かにチヤホヤされるわけでもない。話題にもならない。むしろクラスでは空気人間です。
モブ自体「青春>超能力」でありたい、と考えています。

ライター情報

たまごまご

フリーライター。アニメ・マンガ系のムックを作ったり、雑誌連載したり、かわいい女の子の出てくるマンガを収集したりする、オーケン大好きな人。なぜかビジネス書も数冊出してます。アイマスは亜美派、艦これは那智派。
ツイッター/@tamagomago
ブログ/たまごまごごはん

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