陸・海・空!
自衛隊のポスターでお馴染みのフレーズ。岡山だと公式で陸海空を美少女キャラでアピールしてたりしますね。
すごい時代ね。

さて、実際の自衛隊の様子と使われている戦車・護衛艦・空自機を紹介した本『りくかいくう。』が発売されました。
で、この本を作っているのは、C2機関という、今話題の『艦隊これくしょん』(以下艦これ)の開発スタッフです。
「艦これ」と「りくかいくう。」は密接につながっているので、ちょっと説明します。

艦これは未だにパンク状態の、超弩級コンテンツになっています。
特にデイリーアクティブユーザー数(毎日遊んでいる人の数)が、他のオンラインゲームと比較してもとても多い。
コンプティーク10月号では艦これ特集の小冊子がついているのですが、これがものっすごい評判になってしまったため、どこに行っても完売状態。
ゲーム本体もパンクしているのに、雑誌までパンクとは! 旧日本軍の物品不足みたいだ!

そんなことになろうと思いもしなかったであろう開発スタッフは、今ひいひいなわけです。その開発スタッフが、C2機関。創作同人サークルでした。
食べ物とミリタリーについての写真入りカラー同人誌をかなり前から作り続けている、知る人ぞ知る有名サークル。
今年の夏コミケでは『艦これスタッフ本 提督の夏休み』という本を出し、これが爆発的に売れてまたパンクしたので、名前だけ聞いたことある人も多いかもしれません。ぼくもまだ手に入っていません早く欲しい。

2010年に『ちんじゅふ。』という同人誌を発行。これはこの本には収録されていません。
舞鶴鎮守府と呉鎮守府の史跡探訪本です。

これを聞いて艦これユーザーならピンとくるはず。艦これのサーバー名は「横須賀鎮守府」「呉鎮守府」などの名前がついています。
この同人誌取材がきっかけで、「艦これ」制作がスタートします。実はVol.1で、Vol.2は横須賀鎮守府予定らしいのですが、今サーバーが海の男の艦隊勤務状態なので身動き取れないとのこと。

そして、2011年から自衛隊調査をしたシリーズが制作されます。
陸上自衛隊の富士総合火力演習観戦読本『そうかえん。

海上自衛隊の観艦式解説本『かんかんしき。』
航空自衛隊の先進技術解説本『くうじき。』
この3冊が一冊にまとめられて、商業ベースに乗るようになったのがこの『りくかいくう。
』です。
この流れ見ると、「艦これ」スタッフがどんだけ軍事に興味と愛情を注いでいるのか、大いによくわかりますよ。全部自分の足で見に行ってるのね。

基本的な部分は、「艦これ」と同じだと思っていいと思います。見開きになっていて、片方のページに擬人化した兵器少女。それぞれの詳細な解説。

この本のすごいところは、もう片方のページにものすごい量の写真が載っていること。
写真メインになっていて、それの添え物的にイラストが入っているので、非常に読みやすいです。
写真も、これ本当に同人誌だったの?ってくらい非常にクオリティが高い。絶対プロが撮ってると思うんだ!そうじゃなかったらすごい腕前だ。

加えて、総火演に行くための方法やプログラム、射程目標地域はどうなっているのか、レーション(戦闘糧食)を実際に食べてみた、輸送船「くにさき」の甲板や中の様子、第六世代戦闘機開発の話、カウンターステルスの仕組み、航空自衛隊の基地祭などがどっさり写真と絵で紹介。
ただの「擬人化本」ではありません。同人誌だったゆえの、好きなモノを詰め込んだフットワークの軽さを感じます。
趣味で創った本としては、「好き」を超越した愛に近いものを感じます。
それを商業ベースに改良しているので、本当に読みやすい。

さて、「艦これ」の擬人化は第二次大戦時のようなレトロな制服が魅力の作品ですが、『りくかいくう。』の擬人化は違います。
現代の女性自衛官をイメージしたスーツなのです。
これはポイント高い。翻したスーツの背中が甲板になっている「ひゅうが」さんとか最高にカッコ可愛いです。
ちなみに「中破!」はありませんのであしからず。

ちゃんと現実の機体をモチーフにしながら、どちらかというと人間寄りのデザインでオシャレに見せる技術が、ここで培われて『艦これ』につながっていったと思うとなかなか感慨深いです。
読み応えもあるし、ペラペラ眺めていても楽しい本。
うーん、総火演一度は見に行きたいなあ。
にしても女性のスーツはいいよね、スーツはいいよ女性の。


C2機関 『りくかいくう。』

(たまごまご)