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なぜ教師の性犯罪はなくならないのか「スクハラ」の実像

2014年10月21日 09時30分 ライター情報:青柳美帆子
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池谷孝司の『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』は、「スクールセクハラ」の実像に迫ったドキュメント。被害者・加害者に取材し、スクールセクハラが起こってしまう仕組みを指摘している。

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わいせつ行為で懲戒免職になった公立中学校教師の数。
1999年はわずか3人。
2012年には、40倍の119人だ。
問題教師が10年間で急増したのではない。これまで見過ごされていたものが厳しく処分されるようになり、表に出てきたのだ。

〈子どもたちを育てようと教師になったはずの人たちが、なぜ子どもをつぶすようなことをするのか。学校はどうして隠蔽に走ってしまうのか。スクールセクハラはどうすれば防げるのか〉

池谷孝司『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』は、教師による生徒へのスクールセクハラのドキュメントだ。

〈教育関係者は「なぜ学校でそんなことが」と嘆くが、実は教師が指導の名の下に強い力を持つ学校だから起きる構図なのだ。信頼する教師が加害者になる、学校だからこそ起きる「権力犯罪」なのに、学校や教育委員会は「一部の不心得者の行為」「どこの組織にもそういう人間はいる」という認識にとどまり、さらには保身による隠蔽体質が次の事件を生む構造がある〉
〈もちろん、多くの教師が真面目に働いていることは言うまでもないが、授業に熱心で、部活動で実績を上げる教師が陰で悪事を働くこともしばしばある。権力を悪用する危険は常に多くの教師に存在する〉

ひとたび問題が起こると、教師本人の資質に注目が集まりやすい。そうではなく、「学校」という仕組みそのものに潜む問題を池谷は指摘している。

本書は5章仕立て。「M教師(問題教師)」「特別権力関係」「部活動」「二次被害」「届かない悲鳴」と章題がつけられていて、実際に起こったスクールセクハラ事件を、被害者・加害者に取材する形で描いている。

たとえば1章は、スクール「セクハラ」というよりもスクール「レイプ」と呼んだ方がふさわしいような事件だ。横山智子さん(仮名)は高校2年の秋、進路指導の面談で担任教師から「カラオケに行こう」と誘われ、断り切れずにホテルに連れ込まれ、乱暴された。智子さんはその後摂食障害になった。自分に自信が持てず、「ごめんなさい」が口癖になったのだという。

〈嫌な目に遭ったら困る。推薦入試を受けるなら内申書を握られてる。カラオケならいいか……。担任が問題を起こすようなことはないだろう。悪い想像は考え過ぎだ〉
もともと「いい子」で、言われたことを断れなかった智子さんは、悩みながらも担任についていってしまう。
〈「まさか先生がそんなことをするなんて」(中略)「どうしてついていったのか。なぜ大人に相談できなかったのか、と自分を責めました」〉

担任教師の認識は、智子さんとは異なっていた。

ライター情報

青柳美帆子

フリーライター。1990年(平成2年)生まれ。オタクカルチャー・イベントレポ・明るいエロス・少女革命ウテナなどを中心に執筆しています。

URL:青柳美帆子のまとめ

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