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大丈夫かオリンピック。根深い「新国立競技場」建築問題

2015年6月11日 10時50分 ライター情報:米光一成
2020年東京オリンピックの主会場「新国立競技場」建築計画。
費用と工期をめぐって大混乱である。
『「らしい」建築』飯島洋一/青土社

都も約500億円を出すように言われた舛添要一知事は「現在の法制度では、負担の根拠がない」と反発。
下村文部科学大臣が「全体的な責任者というのがはっきりわからないまま来てしまった」と発言(で、誰が最後まで責任を持ってやるの?)。
そもそも、工事費はいまだに不透明。

そして、建築家の槇文彦らが新たなデザインを提案(新国立競技場、新たなデザイン提案)。
しかも、見直しの提案は、2年前の2013年8月からずっと主張されていた。
「見直すなら今がラストチャンスだ」という言葉は重い。

監修者のザハ・ハディドは「(批判している日本の建築家は)外国人に東京のスタジアムを作ってほしくないんですよ」と批判し、「がっかりしている」と発言(DEZEEN「Zaha Hadid hits back at Tokyo stadium criticism」

どうして、こんなグズグズの馬鹿馬鹿しい事態になってるのだろうか?

新国立競技場建築計画の根本的な問題点


新国立競技場の設計競技の最優秀賞がザハ・ハディドに決まったのが2012年11月15日。
その九ヶ月後、2013年8月に槇文彦が異議を唱える論文を発表した。
新国立競技場設計の何が問題なのか?
飯島洋一は『「らしい」建築』で、根本的な問題点を指摘する。
審査方法そのものに問題があった、と。

予算に収まらないのは最初から判っていた


“このスタジアムは、最初から一三〇〇億円ではとてもつくれなかった。”
有楽町「東京国際フォーラム」の延床面積が一四万五〇〇〇平方メートルで、一六四七億円の費用がかかっている。
その約二倍の大きさなのに予算は少ない。
にもかかわらず、ハディド案はアクロバットな構造体になっている。
“これが一三〇〇億円の予算をかなり超えないと実現しないのは、このコンペの審査のはじめから、建築の専門家なら誰にでもわかり切っていた話だった”のだ。
飯島は、ダメ押しのようにその根拠をあげる。
NHK総合テレビ『SANAAの冒険』で、審査委員のひとりがこう言っているのだ。
“技術的には可能だろう。ただしコストは知りません。コストはかかるかもしれない”

政治的戦略のコマにされたのか


予算を倍以上オーバーしていいのなら、コンペに出した他の建築家だって違う案を出せただろう。
こうなってくると最大の謎は、「コストに収まらないとわかってる案を何故選んだのか?」である。

ライター情報

米光一成

ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学客員教授。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「想像と言葉」等。

URL:Twitter:@yonemitsu

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