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『オレたちひょうきん族』の名物ディレクターがフジテレビを憂い、現役TVマンにエールとアドバイスを送る

2015年12月9日 09時50分

ライター情報:寺西ジャジューカ

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父親世代が「巨人が強くないと野球が面白くない」と言ってるのを聞くと、いつも耳障りで仕方なかったものです。もしかしたら、今の自分は当時の父親らの立ち位置に近いのかもしれない。現在のフジテレビの凋落は、我々世代(筆者は1978年生まれ)からすると夢を見ているよう。信じられないのです。
『ひょうきんディレクター、三宅デタガリ恵介です』(新潮社)
かつての“ひょうきんディレクター”も、今ではフジテレビの「エグゼクティブ・ディレクター」なる役職に就いているようです。

物心ついた頃は『オレたちひょうきん族』が世を席巻しており、80年代後半はとんねるずがフジテレビを発信地として若者のオピニオンリーダーへと成り上がり。90年代は、ダウンタウンが何食わぬ顔でハイクオリティのコントを一週間ごとに披露。ナインティナインにスポットを当てたのは、フジテレビのディレクター・片岡飛鳥氏であった。
誇張表現でも何でもなく、日本の文化の3分の1を河田町(お台場)が作っている時代が確実にありました。特にシンパじゃないのだけれど、あそこが不振だとどうも座りが悪い。化石な感覚だとは自覚してますが、そんな戸惑いを覚えている今です。

そういえば、『ライオンのごきげんよう』も来年3月で終了するらしい……。この番組の制作に最後まで携わった同局の名物テレビマン・三宅恵介氏による『ひょうきんディレクター、三宅デタガリ恵介です』を読むと、著者の自叙伝でありつつ、フジテレビの黄金期を振り返るには絶好の書籍であることがわかります。それと同時に、現在のフジテレビへのエールとしても機能している一冊。

「僕のいるフロアは13階。いや、これが実に景色がいい。(中略)でも、これがダメなんです。ボーッと外を見て、ネットサーフィンでもしてれば、あっという間に一日が終わっちゃう。クリエイターに必要な『考える』という作業をさせない」(同書より)
どうやら名物ディレクター氏も、現在のフジテレビには思うところがあるようです。

鶴太郎のおでん


三宅氏は、萩本欽一から「嫌だ、嫌だと言いながら楽しそうにやるのが可笑しい」と教わったそう。演者が本当に嫌がっていたら視聴者に「そんなに嫌なら、やめればいいのに」と思われてしまうし、果ては「イジメを助長する」「弱い者イジメにしか見えない」とお叱りまで受けてしまう。あくまで“嫌がる芝居”であることが大事だと、著者は主張します。
「『ひょうきん族』で、片岡鶴太郎さんがたけしさんから、アツアツのおでんを食べさせられるコーナーがありました。あれは、鶴太郎さんの『熱い! 嫌だ! やめて!』と見せる芸があるからこそ、成り立つものです。

ライター情報

寺西ジャジューカ

1978年生まれ。ブライアン・ジョーンズとビートたけしと前田日明と大江慎也と有吉弘行と篠田麻里子が好きです。ブライアン・ジョーンズと菅井きんと誕生日が一緒。

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