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悪夢ばかり見るのはうつの前兆かもしれない「悪夢障害」を知っていますか

2015年12月11日 09時40分

ライター情報:千野帽子

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悪夢障害』(幻冬社新書Kindle)を読んで、そういう障害があることを知った。

著者は、スタンフォード大医学部の睡眠・生体リズム研究所の西多昌規(にしだまさき)客員教授。

ひどい悪夢をよく見て、しかもよく記憶していたり、それによって疲れや日中の眠気が強かったりといった問題を抱えている人は、「悪夢障害」の可能性がある。正確な診断基準は当該書籍に当たられたい。

悪夢は睡眠の質を落とすので、やっぱり鬱と相関関係にあるようだ。
本書でも、悪夢の頻発はストレスによる鬱の前兆という可能性があるという。また、鬱病患者の脳はじっさいに、睡眠中に休息をとれていないそうだ。

なお、不眠と鬱病・抑鬱状態との強い相関関係については、清水徹男『不眠とうつ病』(岩波新書/Kindle)がわかりやすい(レヴュー→「うつに自分を追い込みがちなひとは悪人の行動を目指せ。手を抜け、愚痴をこぼせ」)。

イヤだ! 脳内にホラー映画の監督が!


脳が意図的に考えたりなにかを感じたりといった活動をとくにやってないとき、つまりボーっとしてるときに働く脳の回路を、デフォルトモードネットワーク(DMN)という。
DMNは特定の部位ではなく、ボーっとしてるときに複数の脳部位どうしが作るシステムだ。

最近ではこのDMNが、睡眠中に夢を作り、また睡眠中の記憶の固定・忘却にタッチしているのではないかと言われている。
ある研究によれば、ストレスがかかるとリラックスできず、つまりDMNがうまく機能せず、悪夢を見るのではないかという。

またジュリオ・トノーニ(ウィスコンシン大学)は、覚醒時の意識は現実世界でニュースを見るようなもの、そして夢は想像力に富む監督が作った映画を観るようなものだ、と言う。
これを受けて西多さんは、
〈悪夢障害とは、さしずめ脳にホラー映画を得意とする映画監督が居座っているようなものなのである〉
という。

困るね。脳でジョージ・A・ロメロとかダリオ・アルジェント、ジョン・カーペンター、中田秀夫なんかにメガホン執ってられちゃ。
ダリオ・アルジェント監督『サスペリアPART 2日本公開35周年記念究極版』(Blu-ray)。

さまざまな悪夢


心的外傷後ストレス障害(PTSD)を持つ人は、悪夢を見ることが多い。米国精神医学会の『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院)によれば、PTSDの主訴は悪夢とフラッシュバック(心的外傷を受けたときの記憶が、突然くっきりと思い出される現象)だ。
西多さんは、PTSDの診断基準を満たさないのが悪夢障害である可能性を指摘する。

ライター情報

千野帽子

文筆家。著書『読まず嫌い。』(角川書店)『文藝ガーリッシュ』(河出書房新社)『俳句いきなり入門』(NHK出版新書)など。公開句会「東京マッハ」司会。

URL:Twitter:@chinoboshka

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