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清掃バイトから「億万長者」の作家へ。橘玲に聞く

2016年2月2日 09時50分

ライター情報:平林享子(クローバーブックス)

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最新刊『「読まなくていい本」の読書案内』が話題の橘玲インタビュー後編です。前編はコチラ
橘玲『タックスヘイヴン』幻冬舎

もう出版社はいらない!?


──この本については、アマゾンでレビューを書いてる人のほとんどがKindle版を買ってると、ブログに書かれてましたね(「新年なので、最近考えていることなど」
 最近は本を出すと必ず「電子版はいつですか」って聞かれるようになってきたので、この本は紙版と同時に電子版も出したんです。既刊本も去年くらいから急に電子書籍のダウンロード数が増えてきて、この1年でだいぶ変わったなと感じます。以前は電子版がなければ紙の本を買ったひとたちが、いまでは電子書籍しか買わなくなった、というか。でもこれは書き手にとって悪い話ではなくて、アマゾンでは新刊と古書を併売してますが、古書を買ってもらっても著者には一銭も入りません。それなら価格を下げても電子版で買ってもらったほうがありがたい(笑)。それに電子版のほうが印税率も高いし。紙の本が10%だと、電子版で14~16%とか。
電子書籍の面白いところは、再販制度(書籍は定価販売が義務付けられている)のしばりがないので、自由に値引きキャンペーンができることですね。僕の場合、キャンペーンのタイミングは出版社と電子書店にぜんぶ任せているんですが、その効果を見ると、読者のなかにはセール品しか買わないひとが結構いる。そういう読者はTwitterなどのセール情報をチェックしていて、キャンペーン商品から面白そうなものを選ぶので、キャンペーン初日にいきなりベストテンにランクインしたりする。するとこんどは、ベストセラーランキングだけを見ている読者がいて、彼らは価格に関係なく売れているものから本を選ぶので、キャンペーンが終わって元の価格に戻しても順位がなかなか下がらない。結果として、びっくりするくらい売上が伸びたりするんです。
アマゾンが古書との併売をはじめたとき、出版社や書店は反対したけど、その流れは止められなかった。いまは本がすぐに絶版になってしまうのでブックオフのような業態が出てくるのは当然だし、消費者にとって便利なようにシステムが変わっていくのは当たり前のことです。電子書籍の実験を見ると、価格を固定する再販制が著者や出版社、書店の利益になっているか疑問ですね。
──紙の本がなくなることはないですが、電子書籍に移行する流れは止まらない。
 出版社にとっては難しいところですよね。
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ライター情報

平林享子(クローバーブックス)

編集者、ライター。編集した本は、滝本誠著『きれいな猟奇 映画のアウトサイド』、宮崎駿著『折り返し点 1997~2008』、坂本龍一他著『縄文聖地巡礼』など。

URL:Twitter:@cloverbooks

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