冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』がジャンプで休載が発表されてから4週が経過。まだまだ時間はかかるかもしれない。
今回は単行本の第4巻を振り返る。
「HUNTER×HUNTER」4巻を振り返る。戦闘シーン少なめで試験に受かったレオリオの魅力
巻頭コメントは「結婚しました。(詳しくは5巻で)」。うさ耳バンドをつけた笑顔の冨樫が載っているが、これも結婚相手を推測するための一つの手がかりである。

タイトルは「最終試験開始」


最終試験は受験生同士の1対1でのバトル。相手を殺さず、「まいった」と言わせれば合格。勝者が抜けていき、負けたものが上に登っていく負け残りトーナメント。不合格者は一人。
これまでの試験成績のもと、身体能力値、精神能力値、印象値を計算し、その優劣で受験生によって戦闘機会に違いが出ている。ハンゾーやゴンは戦闘機会が最多の5回分が用意されており、レオリオやギタラクルは戦闘機会が最小の2回分しか用意されていない。
受験生たちはそれを使い切るまでに1勝できれば、試験合格となる。

レオリオの成績が1,2を争う悪さ


1次試験のマラソンではスタミナ切れを起こしたものの、根性で完走。しかし、カバンをほったらかしにしたため、代わりにゴンがかついでいた。3次試験は女の色香に惑わされ、敗北。4次試験ではハンティング対象の受験生のプレートをゴンに取ってもらう。最終試験では対戦相手をキルアに倒してもらい、合格を果たしてしまった。
「金さ!! 金さえありゃ何でも手に入るからな でかい家!! いい車!! うまい酒!!」
ハンターの志望理由を問われて、欲望を丸出しにしたサングラス男。
登場初期のレオリオはゲスキャラに見えた。冨樫の世界ではそう長生きできないんだろうな、という出で立ちと思想だったのだ。それでも試験に合格できたのはなぜなのか。

いいハンターってやつは人間にも好かれるんじゃないか


「あなた……ホッとする ゆるやかで広がりがあってあたたかい音 この街で会った誰よりもいい心音がするわ」
「医者や教師に向いているわ 素敵な先生になりそう 
転職をおすすめするわよ
幻影旅団編で出会うクラピカの仲間、センリツにその人柄をほめられることがあった。
「お前みたいなやつに会いたくてやってる仕事さ がんばっていいハンターになりな」
レオリオがたたき殺そうとしたドキドキ2択クイズのババアからは激励を受けていた。
いまだにしっかり描かれたレオリオの戦闘シーンはない。
しかし、レオリオが仲間に恵まれてハンター試験に合格というのは運の良さではない。
「いいハンターってやつは動物に好かれちまうんだ」
かつてカイトがそんなことを言っていた。ゴンやジンは動物からも好かれており、周囲に心強い仲間がたくさんいる。
仲間に好かれる、という点ではレオリオもそうだ。32巻ではハンター協会会長選挙で上位3名に食い込んでいた。今やたくさんのハンターたちがレオリオの人柄を認めている。
桑原といい、レオリオといい、冨樫の描く人情系味方キャラにはけっこう頻繁に泣かされてしまう。

(山川悠)

4巻レビュー延長戦→悲劇の老人・ボドロ