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電車路線図を「縦・横・斜め」の線にデザインしたのは誰か

2016年2月10日 09時50分 ライター情報:井上マサキ
電車の中吊りや手帳の付録など、ついぼんやり眺めてしまう路線図。よく見ると、縦・横・斜め45度の直線で描かれているものが多い。

このデザインは日本に限ったものではなく、世界中で見られるもの。いつから路線図は「縦・横・斜め」の直線で描かれるようになったのか。結論から言うと、鉄道を生んだ国・イギリスから歴史が始まっている。
Mark Ovenden『Transit Maps of the World』。世界中の路線図を収集した一冊。表紙はロンドン地下鉄をモチーフに、世界中の国をつなげた路線図になっている。


世界初の路線図は?


世界で初めて蒸気機関車による営業運行を行ったのは、イギリスのストックトン・アンド・ダーリントン鉄道(1825年)。鉄道ができたということは路線図も描かれてそう…だが、青木栄一『交通地理学の方法と展開』によれば、当時の時刻表はあるが路線図は残っていないらしい。その代わり、運河地図に鉄道が併記されていたそうだ。
"Bradshaw's Railway of Map of Great Britain"より

世界初の路線図は、世界初の時刻表に載っている。1839年に刊行された『ブラッドショウ・イギリス鉄道地図』がそれだ。巻頭の口絵に路線図が掲載され、通常のイギリスの地図の上に路線を重ねあわせて描かれている。

ちなみにこの『ブラッドショウ・イギリス鉄道地図』、『恐怖の谷』などシャーロック・ホームズに「ブラッドショー」の名前でたびたび登場している。ホームズの移動にも使われているのだった。

現在の路線図デザインはロンドン地下鉄から


地図がベースの路線図は路線が増えていくと複雑さを増し、経路や乗換がパッとわからなくなってしまう。

この問題を解決したのが、縦・横・斜め45度でデザインされた「ダイヤグラム型」路線図。この形式を最初に考えたのは、ロンドン地下鉄の技術者、ハリー・ベックだった。
ロンドン地下鉄路線図の変遷をまとめたKen Garland『Mr. Beck's Underground Map』。表紙は1933年に配布されたもの。この形のまま今までデザインが踏襲され続けている。

駅と駅のつながりさえわかれば乗換には困らない。ベックは駅と駅を直線でつなぎ、駅間の長さは実際の長短に関わらず一定とした。駅は点で、乗換駅は菱型で表示。駅以外の情報はテムズ川だけした。Ken Garland『Mr. Beck's Underground Map』に製作中のスケッチが載っているが、まるで電気回路のようになっている。

仲間の薦めもあり、完成したデザインを広報部に提案してみるが「あまりに今までと違いすぎる」と却下。翌1932年、ちょっと変えた案をあまり期待せずにもう一回提出すると、今度はあっさりOK。1933年にベックがデザインした路線図が無料配布されると爆発的な人気になり、以後80年余り、現在に至るまで当時のデザインが踏襲されている。

その後、世界中の鉄道がベックの案を踏まえたデザインで路線図を描いた。

ライター情報

井上マサキ

1975年石巻出身のフリーライター。元SEで2児の父。スマホアプリ・パパ育児・お笑いを中心に活動中。路線図鑑賞家。ケータイ大喜利第14号レジェンド。

URL:Twitter:@inomsk

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