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永六輔号泣、震災とラジオ

2012年4月10日 11時00分 ライター情報:米光一成
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『上を向いて歩こう 永六輔作品集』永六輔が作詞した曲のオムニバスCD(EMIミュージック・ジャパン)。『上を向いて歩こう 年をとると面白い』(永六輔/さくら舎)の「はじめに」には、大震災の後、被災地で歌われ、CM曲にも使われた「上を向いて歩こう」についての思いを綴っている。

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ラジオ番組「永六輔とその新世界」が、アバンギャルドで、パンクな番組になっているのだ。

メインパーソナリティーは、永六輔。
TBS、毎週土曜午前8:30-13:00、4時間30分の番組だ。
2009年ごろ、ろれつが回らなくなり、その後、パーキンソン病であることを公表。
2009年に転倒、右足小指骨折。2011年にまた転倒、入院・手術。
だが、永六輔は番組をほとんど休まない。ろれつが回らないときでもゲストとともに喋る。病室から出演する。2012年に退院して車椅子でスタジオに向かう。

たとえば、永さんが黙ってるので、アシスタントの外山恵理アナウンサーが声をかけると「寝てるのに起こすなよ!」と怒る(というギャグ)。笑う。
しまいには、「みんなで見つめ合って、誰かしゃべらないかなーって思ってる番組になってきた」なんて言いだすのだ。
ありえない!と驚愕、耳が離せない。

番組の最後に、永さんが、大きくためいきをついて、外山さんが「なんで、最後にためいきなんですかー」って突っ込まれて終わったりする。

ネットでは、「耳障りで老害だ」なんていう書き込みもある。
悲しくなる。
お叱りを覚悟のうえで書くのだが、番組を聴いていて、静かに考えてしまうのは、「介護の現場」であり、高齢化社会となる日本の未来だ。
それを簡単に「耳障り」といえるだろうか。
番組も、永さんも、そのような批判が出てくることを承知で「番組をずっと続けていこう」という決意を持っている、それが伝わってくる。
老いるということを、マイナスに捉えるのではなく、続けていこうとする意志として、表現しようとしている。

たとえば、2012年の3月10日の放送。
震災と空襲のことを話ながら涙ぐむ。泣き声で言ってることが判然としないときはアシスタントの外山恵理さんがリピートする。
なので、そのままテキストにはできないので、少し整理して再現するとこんな感じだ。

永六輔:卒業式の日なんですよ、シーズンとして。
外山恵理:そうですねえ。
永六輔:六年生。疎開していて、ぼくは五年生で、見送ったんです。六年生は、ぜんぶ、と、と(泣いて聞き取れない)
外山恵理:東京に帰った、んですね。
永六輔:(泣いて分からない)
外山恵理:空襲にぶつかっちゃったわけですね。
永六輔:空襲まっただなか(泣いている)。
外山恵理:ええ。
永六輔:(泣きながら)それを見送っちゃって。
外山恵理:それを永さんは見送ってしまった。
永六輔:いま、話していてもつらい。

ライター情報

米光一成

ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学客員教授。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「想像と言葉」等。

URL:Twitter:@yonemitsu

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