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「堕ちる」結末にアイドルファンだけが恐怖する

2017年4月10日 10時00分 ライター情報:むらたえりか
30分の短編映画『堕ちる』が面白い。

2016年9月から、映画祭や単発のイベントだけで公開されており「見たいのに見られない映画」として話題になっていた。

満を持して、2017年4月8日(土)からシネマート新宿で1週間の劇場上映がスタート。初日舞台挨拶には、主演の中村まことさん、錦織めぐみさん(Luce Twinkle Wink☆)、監督の村山和也さんが登場した。
(c)映画『堕ちる』

映画『堕ちる』の舞台は、群馬県桐生市。

桐生織(きりゅうおり)という織物の職人である無口な中年男性・耕平(中村まこと)は、職場と家とを往復するだけの無感動な日々を過ごしていた。

ある日、耕平は地元の床屋でローカル地下アイドルのめめたん(錦織めぐみ)と出会う。薦められるままに地下のライブハウスへ向かい、歌って踊るアイドル・めめたんにガチ恋してしまう。

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地下のライブハウスに入ると、チケット代とは別にドリンク代500円を請求されて戸惑う。

おまいつ(「おまえいつも居るな」の略で、ライブやイベントにいつも居るファンのこと)らしき男性に「1曲目からお願いしまーす!」と黄色いサイリウムを渡され、使い方がわからず戸惑う。

アイドル現場あるあるだ。耕平の戸惑いは、多くのアイドルファンが通ったであろう「あの頃」を思い出させる。身に覚えがありすぎて笑ってしまう。
地下のライブハウスでめめたんを見つめる耕平(中村まこと)
(c)映画『堕ちる』

いよいよステージにめめたんが登場すると、耕平の表情が変わる。

無感情だった目は潤ってまっすぐに前を向き、口は熱っぽく半開きになる。この子を応援しなければいけない、支えたい。そんな使命感が芽生える瞬間の顔。

アイドルファンなら、自分を見ているようで恥ずかしくなると思う。

錦織「ライブハウスで初めてめめたんを見たときの耕平さんの顔が、キラキラと輝いていくところが素敵なんです」

年甲斐もなく恋に「堕ち」てしまうアイドルファンに、素敵と言ってくれる錦織さんが優しい。

織物工場やライブハウスに舞う埃は、序盤ではただのゴミ。でも、耕平がめめたんに出会ってからは、その埃に光が注がれキラキラと輝き始める。推しメンに出会うことで日常が輝きだすアイドルファンの気持ちが、幻想的に表現されている。
「内緒だよ……」耕平に囁きかけるめめたん(錦織めぐみ)
(c)映画『堕ちる』

耕平は、めめたんのためにステージ衣装を作り始める。図書館で資料を集め、自分でデザインを起こし、仕事で作っている桐生織を使った着物ドレスだ。

惰性でしてきた仕事とは違う能動的な作業。朝方まで没頭して完成させた衣装は、無事めめたんにプレゼントすることができる。

ライター情報

むらたえりか

ライター/PR企画者。宮城県出身・女子校育ち。「アオシマ書店」で写真集レビューなどを執筆。ハロプロ、ヒーロー、ベガルタ仙台が好き。

URL:わたしとたのしいくらし

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