「クールビズ」28度はエアコン設定ではなく室温 当初の環境省資料には紛らわしい記述も
クールビズ特設サイト

節電と地球温暖化対策のために2005年、当時環境相だった小池百合子氏が推進した「クールビズ」。夏を快適に過ごすための取り組みとして定着しているが、8月7日に公開されたアンケート調査では、7割以上の人がクールビズを勘違いしていることが明らかになった。



クールビズ「28℃」は“空調”ではなく“室温”


三菱電機ビルテクノサービスは、空調の設定温度を変更できる20代~60代(70代を含む)のオフィス勤務者男女1,000人を対象に、夏のオフィス環境に関する調査を実施。同アンケート内に、環境省が推奨するクールビズを正しく理解しているか尋ねる設問が用意されていた。
回答で最も多かったのは「衣服を軽装にして、エアコン(冷房時)の設定温度を28℃に設定すること」で38.2%、「衣服を軽装にして、エアコン(冷房時)の設定温度を25℃~28℃の間で設定すること」が2番目の25.4%だった。

しかし、同省が推奨しているのは「衣服を軽装にして、室内温度(冷房時)を28℃になるように調整すること」。正しく選択したのは23.8%で、7割以上がクールビズを誤解していることがわかった。
「クールビズ」28度はエアコン設定ではなく室温 当初の環境省資料には紛らわしい記述も
三菱電機ビルテクノサービス調べ

ネット上ではアンケートの結果に対して、「28℃ってエアコンの設定温度じゃなくて室温なんだ」「分かりにくいよ。僕も今日まで誤解してた」と自分も誤解していたという人が続出。

また「以前勤めていた会社がこれだった。エアコン設定が28℃で社内が暑く、仕事に集中できないという悪循環」「公共施設とかも28℃設定から下げないから、働いてる人も中で動いてる人も汗だくになるよね」と、様々な場所で誤解が蔓延していると指摘する人もいる。

中には「勘違い? はっきりとエアコン28℃設定と言っていた気がするが」という声も。
実際、クールビズを推進し始めた2005年に環境省が作成した報道発表資料「『COOL BIZ』の成果について」には、「環境省では、地球温暖化を防止するため、夏のオフィスの冷房設定温度を28℃程度にすることを広く呼びかけてきました」「来年も引き続き、『冷房温度28℃』『COOL BIZ』の普及に努めてまいります」と、紛らわしい記述が残っている。


「28℃根拠なし」の報道受けクールビズ特設サイトに解説を掲載


クールビズを巡っては、今年5月に行われた副大臣会議で、施策導入時の担当者が「科学的知見があって28℃に決まったのではなく、何となくという目安でスタートした」と発言し物議を醸した。
これを受け翌日には、山本公一環境相(当時)が記者会見で「28℃には根拠がある」と反論し、空調ではなく「室温を28℃にしてほしい」ことを訴えている。


環境省のクールビズ特設サイトも騒動を受けてリニューアルされ、「どうして『28℃』?」と題した解説ページが追加された。同ページには、28℃はあくまで目安の数値であることや、冷房を28℃に設定しても室温が同じになるとは限らないことを説明。また、「室温28℃」を目安にした背景として、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令」及び労働安全衛生法の「事務所衛生基準規則」で定められた室温設定の範囲が、17℃以上28℃以下であるためと説明している。