昨日24日におこなわれた参院代表質問において、またも安倍首相の口からトホホな発言が飛び出した。

 それは民進党の蓮舫代表への答弁で起こった。

安倍首相の「国会でプラカードを掲げても何も生まれない」発言に対し、蓮舫代表は自民党も国会で下野時代にプラカードを掲げていたことを突っ込んだのだが、これに安倍首相は猛然と、このように反論した。

「これは一般論であって、民進党のみなさんだとは一言も申し上げていないわけであります。自らに思い当たるフシがなければ、これはただ聞いていただければいいんだろうと、このように思うわけであります!」

 野党批判となるとヒートアップするのはいつものことだが、昨日もこう喋っているうちにハイテンションに拍車がかかった安倍首相。そして、意気揚々とおなじみの「ご指摘はまったくあたりません」なる決めゼリフをぶちかまそう......としたのだが、その前に耳を疑う言葉が出てきたのだ。

「訂正でんでんというご指摘は、まったくあたりません」

 訂正......でんでん? まさか元お笑い出身の性格俳優のこと? いや、この流れで意味がわからないし。......あ、もしや「云々」を「でんでん」と読んだとか?? それ、にんべんないし、そもそも「でんでん」なんて言葉ないし!

 と、ここまで整理するのに要した時間は約30秒。
しかし、テレビのなかの安倍首相は、漢字を読み間違ったことにもまったく気付かぬまま答弁をつづけたのだった。

 得意気に、かつあまりにも堂々と「でんでん」と発した口ぶりから察するに、安倍首相はこれまでも「云々」は「でんでん」と読むと勘違いしたまま齢62歳までやってきたのだろう。

 実は、安倍首相にはこれまでにも「漢字に弱すぎないか?」という疑惑があがっていた。

 たとえば、以前、安倍首相が読む手元の答弁書がクローズアップされて週刊誌に掲載されたことがあったが、そこには「表(あらわ)そう」という小学校で学ぶ漢字にまで読み方が記されていた。また、2013年4月に開催された「ニコニコ超会議2」で迷彩服に身を包み戦車に搭乗するなど大はしゃぎしたとき、安倍首相は自民党ブースの寄せ書きボードに「成長力」と書いたのだが、そのとき、「成」の字のはらいと点が書かれておらず、「もしかして安倍首相は漢字が書けないの?」とネット上で話題を呼んだこともあった。

 もちろん、間違ったまま漢字を覚えてしまうといったミスは誰しもあるだろう。
だが、彼は曲がりなりにも総理大臣なのである。さらにもうひとつ言えば、間違ったまま覚えていたとしても、あれだけ側近がいるのだから「それは"でんでん"ではなく"うんぬん"です」と注意してやれよ、という話である。

 もはや、安倍首相はこんな恥ずかしい言い間違えすら、誰もとがめることができないくらいに「裸の王様」化しているということだろうか。実際、安倍首相は過去に、他人から間違いを指摘されても、まったく直そうとせずにそのまま言い間違いを続けたこともあった。

 たとえば、昨年5月16日、安倍首相はやはり国会で自信満々に「私は立法府の長、立法府の長であります!」と間違った発言。翌日17日にも「立法府の私がお答えのしようがない」と同じ間違いを繰り返した。
じつは、安倍首相は同年4月にも「私が立法府の長」と言い、その場で「立法府ではなく行政府」と指摘を受けている。さらには2007年5月にも「私が立法府の長として......」と発言したが、そのときは民主党(当時)の簗瀬進参院議員が安倍首相に三権分立を説明し、「あなたはそういう意味では行政府の長であります」と正している。つまり、再三にわたって「あなたは立法府の長ではなく行政府の長ですよ」と注意を受けてきたのに、誤りをあらためることが一切なかったのである。

 人から間違いを指摘されても、誤りを絶対に認めないし、それを直そうとはしない。安倍首相のこの傾向は、たんなる用語の使い方や読み方だけの話ではない。その政策や外交においても、失敗や暴走をけっして認めようとせず、「俺のやったことは正しい」「俺の政策はすべて成功した」といいはり、逆に批判意見を力で押しつぶしてきた。


 そういう意味で、「でんでん」発言は安倍首相の教養のなさだけでなく、その危険性もよく表しているというべきだろう。
(編集部)