NYやロンドン、ローマなど魅力的な街を舞台に、ウィットに富んだ作品を世に送り出す名映画監督、ウディ・アレン。私生活においては事実婚のパートナー、女優ミア・ファローの養女であったスン・イーと恋愛し、夫婦となって20年の年月が経ちました。

海外サイト「VULTURE」のインタビューにおいて、この、タブーを犯したようにも見えるスキャンダラスな関係を「父親的」と表現しています。

孤児だった彼女が洗練された女性に

果たして彼の語る「父親的」関係とはどんなものなのでしょう。非常に珍しくウディがこの件について口を開き、2人の関係は「親が子供を思うよう」であり、スン・イーの人生を変えたことが自分の人生で最も大きな喜びのひとつであったと語っています。


私の人生において最も素晴らしいことのひとつは私の妻です。彼女は韓国において非常に難しい生い立ちでした。空き缶を集めお腹を空かせたストリートの6歳児でした。

孤児院に引き取られた彼女の人生を私は改善したのです。たくさんのチャンスを与え、彼女はそれによって輝きました。教育を受けたくさんの友達や子供を得、学位を取得し、大学院に行き、私と共に世界中を旅しています。ヨーロッパの大都市においても彼女は非常に洗練されています。全くの別人になったのです。彼女に尽くせたことは、自分のどの映画よりも大きな喜びです。

「VULTURE」より翻訳引用

美談のようにも聞こえますが、2人の関係は単なる「足長おじさん」では終わりませんでした。セクシャルな部分も含む夫婦関係まで発展します。

母親として彼女を引き取ったミアに対する配慮はあったのか、ウディをあくまで父親的存在として慕っていたはずのスン・イーの信頼を裏切り、多くの人を失望させ傷つけることはなかったのかなど、彼の子供たちがときおりメディアに語っているように、はかり知れないダークサイドがありそうな気がしてなりません。

妻は安定した生活と素晴らしい家庭をくれた

ウディが一方的に与え続け、それに従うだけのスン・イーだったのでしょうか。そんな支配的な関係で彼自身は幸せを得ることができたのでしょうか。

彼女は大きな喜びをもたらしてくれました。

私は彼女を可愛がり、彼女は素晴らしい人生をくれました。結婚して20年、その前の数年もともにいました。それは私にとって素晴らしい年月でした。彼女は良きパートナーであり良き妻です。彼女は安定した生活と素晴らしい家庭をくれた良き仲間なのです。

「VULTURE」より翻訳引用

現代の光源氏さながらのストーリーですが、タブーなのか、ありなのか。

個人的には彼の都会的な作品は大好きですし、同じ街に住み、彼の娘は近所のスクールに通い、よく知るホテルのバーでジャズ演奏を楽しむウディに勝手に親近感も覚えていますが、それでも私のような凡人の感覚では少々受け入れがたいところがあります。

しかし、心に引っかかったのが「長続きするたったひとつの恋愛は片思い」という彼の切ない名言。孤児であった妻にひたすら与え続ける愛は、彼の言う「長続きする片思い」なのかもしれません。


[ VULTURE ]

photo by Getty images

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