アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| 藤井フミヤ Anniversary Tour“15/25” | 2008.09.14(SUN) at 神奈川県民ホール |
藤井フミヤが自身のデビュー25年、ソロデビュー15年を記念して5月にリリースしたコンプリート・アニバーサリーベストアルバム『FUMIYA FUJII ANNIVERSARY BEST“15/25”』。その収録曲を全曲披露するというコンセプトの下に、全国15箇所24公演行われたツアー【藤井フミヤ Anniversary Tour“15/25”】の最終公演が、神奈川県民ホールで行われた。ある意味、この25年の集大成とも言える公演とあって会場はお祝いムードも漂い、着物姿など心なしかドレスアップしているファンも多く見られた。
14時8分、ステージを隠していた幕が上がり、アコースティックギターを抱えた藤井が現れる。そして、耳に届いたのはあの美しいイントロ、「TRUE LOVE」だ。ソロデビュー曲であり、自身最大のヒット曲であるこの曲をいつ聴かせてくれるのだろう?と思っていたが、「ここでか!」と思わず口に出したくなるようなタイミング。カウンターパンチを受けた気分というか、こちらから手出しする前に一気にステージに引き込まれてしまった。続けて、「Little Sky」「飛行船」と歌い、MCへ。「こんにちは、ようこそ15/25へ」と挨拶し、これまでの25年のキャリアの中でこんなに早い時間からツアーでライヴやるのは初めてだと話す。バラードが続くからブランチでワインなんかを飲んだお客さんが寝てしまわないか心配などと言って会場を沸かせたが、続いて披露された“雨”、“夕陽”をキーワードにまとめられた「わらの犬」「落陽」などの楽曲群は、一曲一曲に込められる藤井の“歌力”に魅せられてしまい、バラードでも寝るどころか息つく暇もない。特に「地上にない場所」では、心とか頭とか意思を持っている場所ではなく、皮膚とか心臓とか身体の器官が反応して出てきたような涙が溢れ、ただ成すがままとなってしまった。
中盤は、藤井がタンバリンを持って手拍子を煽った「下北以上 原宿未満」や「GIRL FRIEND」などアップテンポの曲で盛り上げ、一方、2曲の冬の歌を一つにして聴かせた「Endless Snow Crystal」や、名曲「Another Orion」などでしっとり落ち着かせるといった緩急をつけた選曲。観客もそれに合わせるように立ち上がって体を揺らしたり、座って聴き入ったりと藤井フミヤのライヴの楽しみ方を知っている。チェッカーズ時代からの人、ソロになってからの人、ごく最近という人もいるだろうが、ここに集まっている一人ひとりが藤井フミヤの25年を支えている人達なんだなと感じた。
後半は、ダンスナンバーをたたみ掛ける。「DO NOT」に始まり、「女神(エロス)」からは踊りまくり、「タイムマシーン」ではマイクスタンドを巧みに回すパフォーマンスも健在。汗だくになりながら、ラストスパートを駆け抜けていく。実は、ツアー後半に体調を崩し、まだ歌うには万全とは言えない調子で、本人曰く「捻挫したまま走り続けている感じ」だったらしいが、この日のステージを見た限りではそんな様子はどこにも見られなかった。捻挫したまま走り続けて、世界記録を出してしまったみたいな、そんなステージだった。
アンコールでは、恒例の「紙飛行機」で会場中に紙飛行が飛び交い、さらにステージ上でビールを飲んで乾杯。最後は観客、スタッフみんなで三本締めをして、お祭りを打ち上げるような雰囲気で、約3時間に及んだ公演は終わった。25年の総仕上げをこんなに軽やかにしめられるところが藤井フミヤらしいく、だからこそ25年もこうやって人を魅了し続けられているのだと思った。空を飛ぶ鳥のように進む道は自由でありながらも、進む方向はしっかりと見据えている。そんな藤井の30周年、40周年と続いていくこれからをずっと追い続けたいと願わずにはいられないライヴだった。
(取材・文/Excite Music 瀧本幸恵)