アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| OKUDA TAMIO JAPAN TOUR MTR&Y 2010 | 2010.12.24(FRI) at 渋谷C.C.Lemonホール |
2009年のユニコーンの再結成から、前代未聞の公開ひとりレコーディング・ツアー 【ひとりカンタビレ】、石川さゆりとのジョイント、The Verbsのギタリストとしてのツアーなど、次々と形を変えて音楽への挑戦を続ける2010年の奥田民生の姿は、とても感動的だった。そんな一年の最後は、2年ぶりとなるソロ・ツアー【OKUDA TAMIO JAPAN TOUR MTR&Y 2010】だった。キーボード斎藤有太、ベース小原礼、ドラムス湊雅史という最強メンバーが久々に集まった。それ以上に、久々にソロのOT(奥田)に会えることを楽しみにしていたオーディエンスは開演前から盛り上がり、4人がステージに現れると期待は一気に爆発。そしてその爆発を遥かに上回るパワフルな演奏が、立て続けに3曲。特に自信に満ちた「彼が泣く」の、スィングするグルーヴが強烈だった。
「クリスマス・イブ、こんな時に来ていただいて、ありがたいです。もっと他にやることがあったでしょうが。まあ、今日が良いっていう人が一部にはいる。『イヴはコンサート行ってたもんね』とか(言い訳できるし)」と笑わせる。豪快なバンド・サウンドと脱力したMCのコントラストに、一層の磨きがかかっているようだ。ステージにはソファとライトスタンドが並べられている。「最初の3曲で燃え尽きたので、後はその余韻と散りゆく様を楽しんで下さい。
そんなとぼけた言葉とは裏腹に、演奏はさらに切れを増していく。初期の名曲「ハネムーン」はこのメンバーを得て、凄まじいハードロックに変身。かと思うと「イオン」はメロディの美しさとエッジーなロック・スピリットを両立させる。バンドのパワーが最初のピークを迎えたのは「サウンド・オブ・ミュージック」だった。軽快なロックンロールがスカスカの音で演奏されるのだが、音と音の合間に込められたエネルギーはハンパない。単に大きな音で演奏するのではなく、音をギリギリに抑えての気合の入ったプレイは、“名人芸”の域に達している。このスリルがMTR&Yの神髄なのだ。
「来年、小原がね、レキカンになる。還暦っつたら、二昔前は死んでたよ。だから、出来たら来年は60本くらいツアーをやりたい。ただし60分しかやらない。還暦の人がそんなにやれる訳ない。で、チケットは6万円的な。礼さんに60%入りますから(笑)。みたいなことを計画してます」と奥田が宣言すると、会場は歓びの拍手と爆笑の渦。
【ひとりカンタビレ】の初日のナンバー「最強のこれから」に始まり、最終日・金沢の「解体ショー」で終わる本編終盤は、奥田の今年の活躍を締めくくるのにふさわしい素晴らしい流れと盛り上がりを見せた。鋭い「イナビカリ」からエキセントリックな「まんをじして」の2曲で、4人は無我の境地に入っていく。「解体ショー」のラストで、今回のツアーへの想いを込めて<かばんに入れて 全部持っていく かばんに詰めて ちゃんと持っている>と奥田は長く息を吐いて終わった。
アンコールにはサプライズが待っていた。毎回アンコールでは、ステージ真ん中のソファに観客を招いて演奏するのだが、映像収録が入ったこの日はスペシャルゲストとしてソラミミスト安斎肇氏と、事務所の後輩OKAMOTO'Sのハマ・オカモトが登場。奥田は二人の目の前で「あくまでドライブ」のギター・ソロを取る。ラストの「イージュー☆ライダー」では会場から大合唱が起こる。4人が満足の笑顔でステージから去っても、BGMの「さすらい」、そして「雪が降る町」の合唱が止まらない。OTファンの大忘年会のような温かい幕切れとなった。
(取材・文/平山雄一)