アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| 高橋優2011秋の全国ツアー~誰がために唄う優 | 2011.11.25(FRI) at 東京・SHIBUYA-AX |
まだ明るいままのSHIBUYA-AXのフロアから起こり始めた小さな拍手が、徐々に大きくなって、ついには会場全体にこだました。高橋優にとっての二度目となる全国ツアー【高橋優2011秋の全国ツアー~誰がために唄う優】のファイナル公演となった11月25日のSHIBUYA-AX。彼の歌を生で味わいたい熱は高まるばかりで、それが拍手となって、開演前の会場に響き渡っていた。
やや定刻を過ぎたころ、SEを合図にバンド・メンバーが登場。そしてすさまじい拍手と歓声が、最後に出てきた高橋優を包み込んだ。その名のとおり優しい表情を見せながら歌い始めたのは「誰がために鐘は鳴る」。今度は高橋優の声と壮大なバンド・サウンドが会場に響き渡る。続く「終焉のディープキス」では、テレキャスターをかきむしるように弾きながら強い口調で問いかけるように歌う。「素晴らしき日常」では、路上ライヴで鍛え上げたよく通る声で、メッセージを突きつけた。
感謝の言葉と、今回のツアーを通して自分は晴れ男になったという主張を交えながら「誰がために精いっぱい歌わせていただきます」と宣言。ここからライヴはさらに表情豊かになっていった。
恋愛を歌う曲ではまるで告白するように真剣なまなざしで歌い、趣味が高じて民謡歌手としても活躍めざましい父親とのエピソードでは笑いを起こし続ける。あるいは「頭ん中そればかり」では、歌詞にある妄想をそのまま身振り手振りにして歌い、フロアを変な興奮で沸きあがらせる。また“僕の熱い想いを受け取っていただきたい”と高揚した顔つきで歌った「想いよ、届け」では、熱さを充満させていった。ちなみにこの曲では、ハンドマイクで歌いながらステージを所狭しと駆け回り、片手に持ったタオルをグルグル振りまわすのだが、ファンも一緒になってタオル回しを決める。エキサイティングな光景が会場に広がった。さらに本編ラスト「福笑い」では笑顔でほころばせ、アンコールで披露された新曲「卒業」では曲が進むにつれ表情を輝かせていった。
そんな様々な局面を見せながらも、すべての中心にあるのは高橋優の放つ嘘のない言葉たち。とくにライヴでは受け手という垣根をあっさりと飛び越えてリアルに響く。そしてガチガチに固まっていた気持ちを解きほぐしてくれたり、自分の中で考えさせられたり、新たな力が湧き上がったり…、高橋優の歌はそのままファン一人ひとりの歌にもなっていった。
そういえば、このライヴのステージに掲げられていたのは巨大なピック型のバックドロップ。そのピックには“I'm YOU”と書かれている。もちろん彼の名前だが、別の解釈をすれば、“わたしはあなたです”。誰がためにではなく、あなたのために唄う優がこの日もしっかりといた。
(取材・文/長谷川幸信)