ChatGPTをはじめとする生成AIが普及する中、高校生の間ではAIを検索ツールではなく「相談相手」にする動きが広がっています。

塾選ジャーナルが高校生103名に調査したところ、75.7%が「AIの助言は自分に都合が良すぎる」と自覚。
それにもかかわらず、72.8%が実際の告白や学習計画などの行動へ移している実態が判明しました。

勉強や恋愛の悩みをなぜAIに託すのか。本記事では調査データと高校生のリアルな声から、AI時代の意思決定の裏側をひも解きます。

■何を相談している? 高校生のAI相談ジャンルと「擬人化」の実態
高校生はAIに対して、どのような悩みをどんな理由で相談しているのでしょうか。まずは相談ジャンルと、AIとの向き合い方の実態を見ていきます。

▼相談ジャンル1位は「勉強」、「恋愛・人間関係」が続くChatGPTなどの生成AIにどのようなジャンルの悩みを相談したことがあるかを尋ねたところ、最も多かったのは「勉強法や学習計画、進路に関する悩み」で67.0%でした。

次いで「恋愛に関する悩み」47.6%、「友人関係やクラス内の人間関係の悩み」と「メンタルや気分の落ち込みの悩み」がともに46.6%で続きます。

家族に関する悩みは22.3%でした。学習面での活用にとどまらず、恋愛事情から友人関係まで、幅広い悩みをAIに委ねている傾向がみられました。

また、「悩み相談はしたことがない」は9.7%にとどまり、9割以上の学生が生成AIに悩みを打ち明けた経験を持つことも読み取れます。

AIを選ぶ理由1位は「相手に気を遣わずに相談できるから」では、なぜ「人」ではなく「AI」に相談するのでしょうか。

人ではなくAIに相談する理由を聞いたところ、最も多かったのは「相手に気を遣わずに相談できるから」で61.3%でした。
「人には秘密にしたい悩みだから」が55.9%、「すぐに返答・解決策が欲しいから」が49.5%と続きます。 周囲との関係を気にせず、即座に答えが返ってくる点が、AIを選ぶ大きな理由になっているようです。

自由回答からは具体的な利用シーンが見えてきます。

「好きな人のことについてChatGPTに相談しました。理由は、友達には言いにくいし、AIだと気軽に相談できるからです。しかも、AIは自分のことをすごく肯定してくれ、自分に自信が持てるからです。けれど肯定されすぎもダメなので適度に使ってます。(岡山県・高1女子)」

■4割が友達感覚で利用、5人に1人が名前をつける傾向も
さらに興味深いのは、高校生がAIをどのように扱っているかという点です。

AI利用時の行動を聞くと、「気を遣わずドライな検索ツールとして使う」が41.7%と最も多い回答でした。一方で「友達や相談相手(人格)のように接する」 と答えた高校生も40.8%に上り、次いで「AIに『おはよう』などの挨拶やお礼を言う」27.2%、「丁寧な言葉遣いで話しかける」25.2%、「AIに名前や愛称をつけて呼ぶ」19.4% など、ただの機械以上の存在として親しみを持ってAIに接する高校生も多く、AIとの距離感は二極化している様子も見えてきました。

■都合の良さを自覚しつつも行動へ——AIが意思決定に与える影響
AIが身近な相談相手になる一方、その回答をどこまで信じ、行動に移しているのでしょうか。AIからの助言との向き合い方を見ていきます。


▼6割超が「自分の意思決定においてAIが重要」と認識何かを決める際に、高校生はどの程度AIを重要視しているのでしょうか。

「AIが自身の意思決定にとってどの程度重要か」を尋ねると、「とても重要」11.7%、「やや重要」48.5%で、合わせて60.2%が重要と回答しました。日常の些細な選択から、学校を休むかどうかの判断まで、個人の意思決定においてAIが強く影響を及ぼす可能性がある現状が見えてきました。

▼75.7%が「自分に都合が良すぎる助言」と自覚しているAIはユーザーを否定せず、寄り添うような回答をする傾向がありますが、それに対して高校生も無自覚ではありません。

AIからの回答について、自分にとって都合が良すぎると感じたことがあるかを聞くと、「よく感じる」が31.1%、「たまに感じる」が44.6%で、合わせて75.7%が自分に都合が良すぎると感じたことがあると答えました。「あまり感じない」は21.4%、「全く感じたことはない」は2.9%でした。

AIの回答に甘さや肯定バイアスがあると理解しながら利用している学生が多いようです。

▼自覚しながらも4人中3人が「都合の良い回答」を受け入れるさらに、AIが自分に都合の良い回答をしていると「全く感じたことがない」人をのぞいた100人に「都合が良すぎると感じても、回答を受け入れたことがあるか」を聞きました。

その結果、「よくある」25.0%「たまにある」49.0%で、合計74.0%が受け入れた経験があると回答しました。都合の良さを自覚しながらも実際にはおよそ4人に3人がその回答を受け入れる傾向にあり、AI の肯定的な言葉に流されやすい様子がうかがえます。

▼72.8%がAIの助言をもとに「実際の行動」へ移す次に、AIの回答を受け入れただけではなくAIの回答を「実際に何らかの行動に移したことがあるか」について全員に尋ねました。

その結果、「そのまま実行したことがある」は18.4%、「一部だけ実行したことがある」は54.4%で、合わせて72.8%の人が何らかの形で行動に移したと回答しました。


■【実行と結果】AIの助言で行動したリアルな結末
AIの助言を行動に移した高校生は、実際にどのような結果を得たのでしょうか。うまくいったケースとうまくいかなかったケースの両方を見ていきます。

▼8割超が「うまくいった」と回答も、約4割は失敗や後悔を経験AIの助言を実行に移した75人に結果を尋ねたところ、悩みが解決したり状況が良くなるなど、うまくいった経験については「よくある」24.2%、「たまにある」60.0%で、合計84.2%がポジティブな結果を経験しています。一方、うまくいかなかったという経験も「よくある」5.3%、「たまにある」33.7%で、合計39.0%が「ある」と回答。良い結果の方が多く報告されていますが、 必ずしもハッピーエンドというわけではないようです。

実際に高校生たちが体験したリアルな声を見てみましょう。

▼成功事例:成績アップ、人間関係の改善、心のケア「遊びに行く時に着る服や髪に迷ったとき、持っている服や着たい服の写真を送ると 1 番 良い組み合わせやそのコーディネートの改善点を教えてくれた。それを実践したらトレンドを取り入れていて良い感じになったので、友達から褒められた。(三重県・高3女 子)」

「受験生なので参考書の勉強を計画を立てて勉強しようと思った時に、具体的にいつまでに終わらせたいからきちんと期日までに終わるように計画を立ててと頼んだ。その通りに勉強したら模試の成績が200点以上伸びた。(静岡県・高3女子)」

「家族に対して理解できない行動があり、本人に聞くと大声で怒鳴り、まともに話せる気がしなかった為、家族がこんな行動をするんだけど、どういう考えがあるからこんなことするのかな?と相談をした。多分このような考えがあるからこうするんだと思う、このように接したらいいと思うよとアドバイスをもらい、そのようにしたら比較的円満に関われるようになった。
(神奈川県・高3女子)」

▼失敗事例:裏目に出た告白、学習計画の破綻、誤回答による時間の浪費「勉強の悩みでなかなか努力ができずに悩んでいると相談したらその時点で努力している証拠だしもう頑張ってるから大丈夫だよと言われたけど根本的に解決してないって言ったら何分間勉強して何分間休もうって言われてやってみたけど全然続かなかったしすぐにスマホを触ってしまった。(福岡県・高2女子)」

「好きな人にどうしたらうまくいく告白ができるか聞いたら、思い切ってみんなのいる前で告白してみたら?と返ってきたので、不安になりながらも勇気を出して告白してみたら「みんなのいる前だったら断れないとでも思ったの?ダサッ」と言われてしまった。(神奈川県・高1女子)」

「AIの解答を信じてそのままの方法で問題を解いた結果、問題の解答と違う値になっていて、テスト前の大事な時間を30分以上浪費してしまい、非常に不快な気持ちになり勉強意欲を削がれ、結果としてその日は勉強しなくなってしまった。(東京都・高2女子)」

■まとめ:便利だからこそ問われる「ツールと人格の境界線」
今回の調査から、高校生にとってAIは「便利な検索ツール」から「意思決定を委ねる相談相手」へと進化している様子がうかがえます。

日常の悩みや家族に関する相談など、人には相談しにくい悩みをAIに相談することで、メンタルケアとしても機能しているポジティブな側面もあると考えられます。

一方で、AIの「都合のいい言葉」を鵜呑みにし、学習の効率を落としてしまったり、人間関係を悪化させてしまうケースも見受けられます。人間の感情の機微や空気を読むことができないAIの助言を、そのまま現実世界に当てはめることのリスクも浮き彫りになりました。

AI時代の悩み相談において、AIを擬人化して愛着を持つこと自体は自然な流れかもしれません。しかし、最終的な決断や、人と人とのコミュニケーションにおける責任は自分自身にあるという「ツールと人格の境界線」をどう引くかが重要です。

便利で気軽な相談相手であると同時に、時に都合の良い言葉だけを返す存在でもあるAI。ツールとして活用しつつ、決断の最終判断は自分自身で行う姿勢が、これからの高校生に求められそうです。

■アンケート調査概要
調査対象:全国の高校生(有効回答数103名)
調査時期:2026年6月29日~6月30日
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「高校生のAI利用に関するアンケート」

この記事の執筆者:塾選ジャーナル編集部
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