造幣局の公式X(旧Twitter)において、「久しぶりに1円を量産しています!!!」と1円玉の製造過程を撮影した動画が投稿され、大きな話題となっています。

■平成28年以降、量産されることはなかった
造幣局の公式Xは2026年7月14日に「久しぶりに1円を量産しています!!!」と動画を投稿。
「現在、平成27年度以来11年ぶりに、1円の量産を行っています」「久々にピカピカの1円がお手元に届くかもしれません」などの説明とともに1円玉が続々と製造されていく様子に、15万以上のいいねが寄せられています(7月21日時点)。

この投稿にユーザーからは、「できたてってこんなにピカピカなんだ」「音がいい」「ゲームセンターのメダル補充のよう」「全種類を常時作ってるわけではないんだ」などの反応が寄せられています。

実は平成28年(2016年)以降、1円玉が量産されることがなかったため、お釣りなどで見かける1円玉の多くは、かなり前に作られたものだとご存じでしょうか。その背景にはキャッシュレス化が進んだことや、コインの製造原価が上がっていることなどさまざまな理由が考えられるわけですが、一体なぜ令和8年の1円玉が量産されるようになったのか、考えていきます。

■平成28年~令和7年の間にも少量ながら発行されていた
平成28年~令和7年の年号が刻まれた1円玉を見たことがある人はコイン収集家を除いてあまりいないでしょう。なぜならこの期間、“一般的に使用される1円玉”は作られていないからです。発行されていたのは「販売用貨幣セット」です。

販売用貨幣セットとは、造幣局が未使用硬貨をプラスチックケースに収めてセットとして販売するもので、通常貨幣セット(ミントセット)のほか、コレクション用として硬貨の表面を鏡面加工したプルーフ貨幣セット、国家的記念事業として発行された記念貨幣を組み込んだ記念貨幣セットがあります。

このうち、ミントセットやプルーフ貨幣セットには毎年発行年の1円玉が収められているため、平成28年~令和7年においても少量ながら1円玉は発行されていました(年によって発行枚数は異なり、44万枚~84万枚ほど)。

枚数だけ見ると44万枚でも多く思えるかもしれませんが、平成26年発行の1円玉は1億2401万枚であることを考慮するとかなり少ないことが分かります。ましてや貨幣セットとして収納されているため、一般市場に流通することはなかなかないでしょう。そのため、探してもまず見つけられないはずです。


■令和8年に量産された理由とは?
さて、11年ぶりに1円玉の量産が始まった理由は一体何なのでしょうか? まず考えられるのが、摩耗などによる状態の悪化です。古い1円玉でもきれいな状態であれば流通しますが、すり減りや傷みが激しいものは新しい硬貨と取り替える必要があります。さすがに11年間、新しい1円玉が発行されていないとそうした交換ニーズが出てくるともいえます。

もう1つは、Xでもまことしやかにささやかれている、消費税の減税を見据えた対応ではないか、という点です。もし今後食料品の消費税率が1%に引き下げられることになれば、確かに1円玉の需要は高まる可能性があります。たまたまかもしれませんし、こうした需要を見込んでのことなのかははっきりと分からないものの、仮にそうした理由で発行されたとしても、減税に対する1円玉の需要増には対応できることでしょう。

■ピカピカの1円玉を発見したら
そんな令和8年の1円玉ですが、そのうち手元に届く時がくることでしょう。銀行などで両替を行う際に令和8年のピカピカの1円玉を発見したら、コインの鑑定に出してみるのもいいかもしれません。完全未使用レベルの評価である“69”や“70”がつけば将来お宝になる可能性もあります。

ただし、今回は発行枚数がかなり多くなる見込みのため、鑑定枚数も増えそうです。あるかどうか分かりませんが、ちょっと変だなと思う1円玉があれば保管しておきましょう。例えば、表と裏の図面の角度がずれていたり、二重に刻印されていたりすれば、エラーコインの可能性があります。


令和になってから初めて一般に流通する1円玉ともいえるため、見つけたらぜひ手に取って眺めてみてください。もしかすると1円玉の量産はこれが最後になる可能性もあります。

※Xの投稿のコメントは原文のまま記載しています。

▼伊藤 亮太プロフィール慶應義塾大学大学院商学研究科修了。一般社団法人資産運用総合研究所代表理事。ファイナンシャルプランナーとして、家計・保険等の相談、執筆、講演、大学講師を主軸に活動。大学院時代の専門は社会保障で、経済・金融に関する解説も得意。コイン収集マニアの一面も。
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