6月5~7日にかけて、富士スピードウェイで開催された「スーパー耐久シリーズ 第3戦 富士24時間レース」に自動車ジャーナリストとして参戦しました。筆者としては今年で2回目となる24時間参戦。
S耐の疑問 その1 どうすれば参戦できる?
ライセンスと、ある程度のレース経験が必要
S耐はアマチュアレースの最高峰と呼ばれることもあり、「いつかはS耐」とエントリーカテゴリーのモータースポーツに参戦するドライバーの多くが思います。そんなS耐に筆者がどうやって参戦することができたのか? どうすれば参戦できるのか? さまざまな要素が必要ですが、一言で言い表すと「縁と実績」です。
今回ご一緒させていただいた86号車「K・M・S・D GR86」を走らせるチーム「木附製作所モータースポーツ事業部」は、金属加工業を営む木附製作所が母体となっています。チーム代表はチームのレギュラードライバーである梅原選手のお父様で、現場での各種判断をする監督的な立場は梅原選手自身がしているのですが、筆者は元々梅原選手と知り合いであり、冬に偶然富士スピードウェイであったときに「今年から自分たちでS耐チームをやるんだけど……」という話を聞いて24時間の時に乗りたいとお願いして話が進みました。
このように、S耐に参戦しているチームとどのように縁があるかも、ルートとしては大切です。また、実績という意味ではレギュレーション上のドライバーの参加資格は「国際Cライセンス保持者、または国内Aライセンスの場合は24ヵ月に公認レース4回以上の完走実績」とされています。
チームによって求められる実績もさまざまですが、完走してこそのレースですので、「接触を含めマシンにダメージを与えないこと」が求められるケースが多いです。しかしながら、ある程度の速さも必要。筆者は公式テストで及第点のタイムを出して今回の参戦となりましたが、そのテストを受ける機会もある程度レース実績がなければ巡ってこないと言えます。まずは国内Aライセンスを取得してJAF公認レースに参加しましょう。
S耐の疑問 その2 マシンの運転は難しい?
運転は難しくないですがタイヤの使い方が難しい
今回筆者は、ST-4クラスを戦うトヨタ「GR86」をドライブしましたが、「とりあえず走らせる」だけであれば基本的に難しいことはありません。しかし、レギュラー陣と近いタイムを出すとなると難しくなります。
ドライビングテクニックとして何か特殊なものが必要というワケでもないのですが、大きな違いだと感じたのがタイヤです。
また、86やヤリス、フィットといったコンパクトカーから、Mercedes-AMG GT3などの本格的なレーシングカーまでが混走するので、同じクラスや下位クラスを抜くテクニックや、上位クラスの邪魔せずに“抜かれる”テクニックも必要になります。
S耐の疑問 その3 お風呂やご飯はどうするの?
基本的に走っていない時間帯に済ませます
これはチームによって違います。炊き出しやケータリングを用意するチームもあれば、お弁当を注文するチームもあります。今回はお弁当が中心でしたが、24時間レースが始まると各々の役割によって食べたいタイミングがバラバラになることも。なので、カップラーメンなどのインスタント食品が用意され、各々のタイミングで済ますことが多かったです。
なお、仮眠スペースはチームがキャンピングカーを用意してくれましたが、筆者は気を使って寝れないかも……と思ったので、フラットなベッドスペースを作ることができる日産の「NV200バネット MYROOM」で仮眠しました。サーキットまで乗ってきたクルマで仮眠するドライバーは結構います。
お風呂に関しては、富士スピードウェイのパドック内にシャワー施設があるほか、近隣の入浴施設を利用するというパターンも。御殿場市まで行けばサウナなどのあります。
S耐の疑問 その4 夜間のレースは難しい?
ほかのマシンとの距離感が掴みにくく難しい!
24時間レースであるため、夜の走行時間帯「ナイトセッション」があります。「見えなくて危ない?」という疑問の声もありますが、これは年齢やドライバー個人の目の体質など人によって……といったところ。富士スピードウェイはナイター照明が完備されているので、「すごく見えない!」という感覚は、28歳の筆者にはまだあまりありません。
見えないことの恐怖感は、前よりも後ろの方が大きいです。バックミラーからの情報では、後方からくる速いクラスのマシンの距離感が分からず、見えたと思ったら一瞬で真後ろに! ということも。明るい時間であれば「どんなクルマが来ているから、ここらへんで追いつかれるな」という計算ができるのですが、夜間はそうもいかないのです。
今回学んだ、耐久レースで大切なこと
今回筆者は、耐久レースに挑む者として必要なことを学びました。それは「助け合うことが大切」ということです。
24時間レースはシリーズの中で最も参戦台数が多いため、ピットが共有になることが多く、我々も今回、日本モータースポーツ界の老舗でもある、IMPULさんとピットを共有させていただきました(より上位のST-Zクラスに出場しています)。
レース終盤、我々が走らせる86号車は残り1時間を切ったところで駆動冷却系のトラブルが起きてしまい急遽ピットイン。チームのメカニックさんがチェッカーを受けるべく懸命にリペア作業をしていたのですが、なんとピットを共有するIMPULさんが手を貸してくださいました。
より高く上がるジャッキを貸してくれたり、持ち込んでいたミッションオイルをいただいたり、何とか86号車は修復してコースへ復帰。無事にチェッカーを受けることができたのです。
レースであるため、ライバルより前を走りたいのは当然ですが、多くの参加マシンでチェッカーを受けてこそ意味があります。そのためには助け合うことも必要なのです。そんな耐久レースに挑むものとして、あるべき姿をIMPULさんに見せていただいたような気がしました。
紆余曲折のドラマがあったあとのチェッカーは、表彰台に上がっていなくてもこみ上げてくるものがありました。この言葉では言い表せない体験があるからこそ、来年もこの舞台に立ちたいと思ってしまうのです。
■関連サイト
24時間耐久レースギャラリー

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