プロジェクター市場は、2024年8月以降、販売が2桁で伸びた月は台数で12回、金額では16回と好調だ。逆に前年を下回った月は、台数が4回、金額は3回だけ。しかもマイナス幅は1桁と軽微だった。テレビに押されて苦戦を強いられているかと思いきや、実は非常に堅調。原動力は競争の激化だ。
首位Ankerのプロジェクターと言えば、何といっても「Nebula Capsule」シリーズ。従来のプロジェクターの概念を突き破った、茶筒のような円筒形。コンパクトな筐体にバッテリーを内蔵し、持ち運べるのも大きな特徴だ。さらに、Wi-Fiと内蔵スピーカーで、本体だけで動画視聴が完結する「スマートプロジェクター」の普及に大きく貢献したシリーズでもある。一番人気は、24年発売の「Nebula Capsule 3」。内蔵のGoogle TVでWi-Fiがあればすぐ動画コンテンツが楽しめる、というのは変わらない。
2位のAladdin Xは、天井に設置するシーリングライト一体型のスマートプロジェクター「Aladdin X3」で知られている。前身は、シーリングライト型の元祖「popIn Aladdin」を開発、クラウドファンディングでヒットさせたpopIn。22年にXGIMI傘下に入った。同社の稼ぎ頭は「Aladdin Poca」だ。茶筒型本体は「Nebula Capsule」シリーズに似ているが、450ルーメンと明るく、投影方向を調整できる「足」がついているのが特徴。独自のAladdin OSを搭載し、アプリやコンテンツはオリジナル。8月現在の実売価格は「Nebula Capsule 3」とほぼ同じで、税抜きで5万円台前半だ。
同率2位のXGIMIは、前述の通りAladdin Xの親会社。13年創業の同社は「スマートプロジェクター」のパイオニアとも言われている。いち早くAndroid TVなどのOS、Wi-Fi、本格スピーカーを本体に一体化させた製品をリリース。
一方、精彩を欠くのがエプソンだ。売れ筋は従来型のビジネスプロジェクター。最も売れている「EB-W55」は、4000ルーメンと明るく8万円前後と手ごろなのが特徴だ。しかし、単体で動画を楽しめるような機能はない。
プロジェクターは、会議室に設置するものから、生活に潤いをもたらす家電へと進化を遂げつつある。最も大きな要素は単体で完結する動画視聴機能。そして、持ち運べるという可搬性だ。その波を捉えたメーカーがシェアを伸ばしている。画質の高さは必要だが十分ではない。「何ができるか」に購買の主要ポイントはシフトしつつある。この傾向はテレビでも同様だ。
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