新旧ブルース・アーティストが正面から激突、火花を散らすアルバムがGA-20 withチャーリー・マッスルホワイトの『Blues Now』だ。
82歳のチャーリーと、彼のバンドから独立した44歳のギタリスト、マシュー・スタッブスの率いるGA-20の共演作。
本誌191号ではチャーリーとマシューが『Blues Now』についてじっくり語るインタヴューを掲載しているが、ここでは主にチャーリーが自らのキャリアを語った未掲載パートをお届けする。両方併せてお楽しみいただきたい。
[取材・文/山﨑智之]
photo by Elizabeth Ellenwood左からジョシュ・キガンズ、チャーリー・マッセルホワイト、マシュー・スタッブス、コーディ・ニルセン
―― 『Blues Now』収録曲のオリジナルをプレイしているアーティストは、チャーリーが直接知っている人がメインでしょうか?
チャーリー・マッセルホワイト(以下CM):そうだね。私は1962年、18歳のときにメンフィスからシカゴに来たんだ。当初はハーモニカやギターをやっていると言わず、ただバックステージをうろうろしていた。そうしてマジック・サムやマディ・ウォーターズと知り合った。ある日誰かがマディに、私がハーモニカを吹けると言ったんだ。それで《ペッパー・ラウンジ》の彼のステージで1曲参加することになった。あのクラブは土曜の夜はひと晩中誰かがジャムをやっていて、マディもツアーに出ていないときは顔を出していた。彼の横で十代の白人の小僧がハーモニカを吹いているなんて、不思議な光景だったと思うよ。その頃はまだ、ブルースを仕事にすることは考えていなかった。
―― GA-20はハウンド・ドッグ・テイラーへのトリビュート・アルバム『Try It... You Might Like It!』(2021年)を発表していますが、チャーリーは聴きましたか?
CM:うん、聴いたよ。すごく良かった。ハウンド・ドッグのエネルギーと味わいを捉えて、アタックと確信に満ちていると思ったね。
マシュー・スタッブス(以下MS):そう言ってもらえると嬉しいね。あのアルバムはコロナ禍の産物でもあったんだ。GA-20は2018年に結成して、ファースト・アルバム『Lonely Soul』(2019年)をコールマイン・レコーズ(の傍系カーマ・チーフ・レコーズ)から発表した。それから間を置かずすぐに『Crackdown』を作ったけど、出してもコロナ禍でツアーを出来ないから、発売を延期したんだ。世界が静止しているとき、アリゲイター・レコーズのブルース・イグラウアが連絡してきた。実はその前、GA-20のファーストのデモを彼に送ったら、「生々し過ぎる」という理由で却下されたんだ。後で「あなたはハウンド・ドッグ・テイラーを出しているのに、俺たちが“生々し過ぎる”だって?」と文句を言ってやったけどね(苦笑)。
―― チャーリーは1960年代、ハウンド・ドッグ・テイラーとも交流がありましたか?
CM:オーティス・ラッシュが毎週日曜日に《アイ・スパイ・クラブ》でプレイして、私は前座を務めていたんだ。
―― ブルースの巨人たち、例えばマディから学んだことで、次の世代に繋げていきたいことはありますか?
CM:マディだけでなくハウリン・ウルフやジョン・リー・フッカー、すべてのブルースマンからあらゆることを学んできたよ。決してレッスンを受けたわけではなく、彼らの演奏を聴いて、話したりすることで、彼らのブルースを吸収したんだ。ビッグ・ウォルターに「おい若いの、レッスンをしてあげよう」と言われたことがある。そのレッスンとは、彼の仲間たちと酒を飲むことだったんだ(笑)。いろんな酒場や友人宅を回って、ハーモニカを吹いて、ボトルが空になったら次の場所に移っていた。
―― タンパ・レッドは1960年代、あまり活発にライヴを行っていなかったと聞きますが、交流はありましたか?
CM:タンパ・レッドとは友人だったわけではないけど十代の頃、シカゴに向かう前に、メンフィスのクラブの裏口で出くわしたことがある。当時彼はビッグ・ジョー・ウィリアムズと組んでいて、「30年前からお前は嫌いだった。今でも嫌いだ!」と叫んでいたよ(苦笑)。その頃、私はジャンク・ショップや中古の家具屋を回って、78回転のブルース・レコードを買い漁っていたんだ。そのとき買ったうちの1枚が“Big Stars Falling”だった。あまりカヴァーされることがない曲だし、大勢の人に知って欲しかったんだ。
―― チャーリーはどんなブルース・アーティストからハーモニカを教わりましたか?
CM:ハーモニカは13歳ぐらいのときに始めたけど、最初は独学だった。唯一のテキストはハーモニカに付いてきた簡単な解説だったよ。童謡とフォーク・ソングの吹き方が書いてあったけど、全然読まなかったな。最初から自分が吹きたいのはブルースだと判っていたからね。誰にも聞かれないように森で練習していた。
―― あなた達の音楽に深みを与えているのは、ブルースを追求しながら、他の音楽スタイルのヴォキャブラリも持っていることだと思います。チャーリーは1950年代、ロックンロールの誕生に立ち会い、ジョニー・バーネットが近所に住んでいたそうですし、マシューも別バンド、ジ・アンティグアズでサイケ・インストやアフロビートを取り入れた音楽をやっています。それはブルースをプレイするのにどのような影響を及ぼしているのでしょうか?
CM:ロックンロールだけでなく、ジャズや昔のヒルビリー・ミュージックからも影響を受けてきたよ。共通するのは、ハートから湧き出る音楽だということだ。やって来ては去っていくトレンドよりも、自分の中で反響する昔のブルースに魅力を感じてきたんだ。ブルースは我々と共に生きる音楽だ。人生を並走して、辛いときでもそばにいてくれる相棒だよ。
―― どんなロカビリーのアーティストと交流してきましたか?
CM:マット・ルーカスとは良い友人だよ。
MS:俺もブルースは好きだけど、それより大雑把に1950、60年代のギター・ミュージックから影響を受けてきたんだ。特にロニー・マックが大好きだった。そうしたらDJをやっている友人がいろんなレコードを教えてくれるようになって、その中にトラヴィス・ワマックの“Scratchy”があった。リンク・レイっぽい原始的なガレージ・ロックのインストゥルメンタルで、すっかりファンになったんだ。それから俺はチャーリーと一緒にやるようになって、数年して《メンフィス・イン・メイ》フェスティバルに出演するとき彼に「高校時代の友達をステージに上げてジャムをやる」と言われたんで、「いいよ、誰?」と訊いたら、何と俺のヒーローのトラヴィス・ワマックだった! 彼がパチンコでガラガラヘビを仕留めてベルトやギターのストラップにするという話を聞いて、さらに尊敬の念が強くなったよ(笑)。
CM:トラヴィスは1980年代にリトル・リチャードのバンド・リーダーも務めていたんだ。
GA-20 with CHARLIE MUSSELWHITE
Blues Now
CD(New West CDNW6626IE)2026
1. Crazy Love
2. I Can’t Hold Out
3. I’ll Change My Style
4. Big Stars Falling
5. Universal Rock
6. The Blues Never Die
7. Strange Land
8. Stroll Out West
9. Short Dress Woman
10. Cristo Redentor
チャーリー・マッセルホワイト オフィシャルHP www.charliemusselwhite.com/
GA-20 オフィシャルHP ga20band.com/
投稿 【SPECIAL INTERVIEW】チャーリー・マッセルホワイト&マシュー・スタッブス(GA-20)インタヴュー は ブルース&ソウル・レコーズ に最初に表示されました。


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