ツクルバは、中古マンション購入者の価値観についての調査結果を6月23日に発表した。調査は2026年5月1日~11日の期間、首都圏(一都三県)に住んでいて、中古リノベーションマンションの購入を検討している・購入してから3年以内の約1,008人を対象に行われた。


はじめに、中古リノベーションマンションの購入(検討)した理由、および予算帯について、予算内で新築よりも広さ・立地などが良い条件であることを優先する現実的な視点と、将来の資産価値を見据えた戦略的な考えから、中古リノベーションマンションを検討していることがわかった。新築マンションの供給が限られる中、希望エリアに住むための有効な手段としても中古リノベーションマンションが選ばれているようだ。

「ヴィンテージマンションならではの味・ディテールが好きだから」などの回答も約2割おり、建物の新しさを妥協する層だけでなく、古い建物自体の価値を積極的に評価して選ぶ層も一定数いることがうかがえる。

購入を検討している(購入した)中古リノベーションマンションの予算帯は、「3,000万円~7,500万円未満」が多く、幅広い価格帯に分散する結果に。

さらに、予算「9,000万円以上」が13.6%と、コスト重視の層だけでなく、資金に余裕のある層も理想の立地や住環境を求めて、あえて中古リノベーションマンションを選んでいることがうかがえる。

希望する予算の中で、実際にどのようなエリアが選ばれているかについて、住みたい街と実際に住むと決めた街を「駅」単位で調査したところ、どちらの設問においても「目黒」が1位に輝いた。続く順位も、ともに2位が「武蔵小杉」、3位が「横浜」という結果に。

これは、中古リノベーションマンションという選択が「住みたい街に住むための手段」として機能しているからと考えられる。

新築では予算を超えてしまう、あるいは物件がない人気エリアも、中古物件なら住みたい家がある可能性が高いといえる。

絶対に譲れない条件としては、「都心や職場への通勤時間」と「駅からの徒歩距離」が上位になり、物件の広さや価格よりも、日々の移動負担を軽減する立地の利便性を優先していることがわかった。

一方で、「エリアを検討する中で、妥協した(あきらめた)条件」を聞いたところすべての世帯において「築年数の浅さ」が最多に。

先ほどの結果と合わせると、立地を最優先し、建物の新しさの優先度を下げる傾向が見られることがわかった。
リノベーションによって内装や設備は後から自分好みに変更できるという前提があるからこそ、築年数に縛られない合理的な選択ができていることがうかがえる。

また、住みたい街として人気が高い「目黒」を選んで暮らしている人は経済的にどのような傾向があるのかについて、その多くが世帯年収「800万円~1,000万円未満」の中間層であることがわかった。

理想と現実の街選びを世帯別に見ると、単身・2人暮らしの夫婦では上位の傾向がほぼ一致しているのに対し、子どもを持つファミリー層では異なる傾向が見られる。

特に、小学生未満の子どもを持つファミリーでは、住みたい街・住むと決めた街ともに1位は「目黒」なのに対し、実際に住むと決めた街の2位には「船橋」、3位には「川崎」と郊外エリアがランクインした。また、小学生以上の子どもを持つファミリーでは、1位が「武蔵小杉」、3位に「新浦安」という結果に。

中古マンションでも1億円を超える物件が珍しくない昨今、ファミリー層においては、「郊外シフト」の傾向が強まっていると考えられる。

住む街の魅力として最も支持を集めたのは、「都心や職場へのアクセスの良さ』や「駅前の便利さ(スーパー・ドラッグストアなど)」といった生活の基盤となる要素だった。

これに続いて、「落ち着いた公園や緑道・水辺」「活気ある商店街・市場」「馴染みになりたい個人店(飲食・本屋・喫茶・酒屋など)」といった、暮らしに彩りを与える環境が上位に挙がっている。一方で、「リセール・資産価値の安定感」や「再開発による将来性」といった経済的側面を重視する声は限定的だった。

これらの傾向から、目黒や武蔵小杉といった人気エリアが選ばれる背景には、資産形成の目的以上に、日々の生活の充実を優先する「暮らし重視」の姿勢があると考えられる。 

暮らしの中で大切にしている要素を聞いたところ、単身・2人暮らしの夫婦では「自分の時間・趣味の充実(推し活・読書・運動・創作など)」が最も重視されていた。

一方で、小学生未満の子どもを持つファミリーでは、子育てや家族との時間が優先されるため、自分の時間の優先順位は一時的に下がるものの、子どもが小学生以上になると再び3位にランクインしている。


このことから、子どもの成長に伴って、再び自分自身の時間を大切にする暮らしへとシフトしていく様子がうかがえる。

さらに、夫婦やファミリーといった複数人世帯では「家族・パートナーとの時間」が上位に挙げられており、日常における「時間の質(タイムクオリティ)」を追求する傾向が見て取れる結果となった。

中古マンション価格の上昇が続くなか、今回の調査からは「資産価値を最大化するための家選び」よりも、「自分たちらしい暮らしを実現するための家選び」を重視する姿勢が見えてくる。新築マンション価格の高騰によって希望エリアでの購入が難しくなるなか、中古リノベーションは単なる節約手段ではなく、「住みたい街で暮らすための戦略的な選択肢」として定着しつつあるようだ。
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