この連載を通じて、私は一貫して「AIは脅威ではない」と伝えてきました。最後に、私が最も強調したい点をお伝えします。


それは、「AIは私たちの仕事を奪うのではなく、私たちを退屈な作業から解放し、人間本来の価値を取り戻させてくれる最高の相棒である」ということです。
○作業に追われ、本質が見失われていた時代

これまでの士業、あるいは多くのビジネスパーソンの日常を思い返してみてください。

朝から晩まで分厚い書類のチェックに追われ、誤字脱字がないか神経をすり減らし、定型の申請書を何枚も作成する。

「目の前の相手のためにもっと時間を使いたい」「もっと本質的なクリエイティブな仕事がしたい」と思っていても、日々の細かい事務作業の山に追われ、文字通り「作業」をこなすだけで一日が終わってしまう。そんな矛盾を抱えていなかったでしょうか。

AIの普及は、この歪んだ構造を劇的に変えてくれます。
○ルーティンワークをAIに任せ、人間しかできない価値に集中する

面倒なデータの集計やリサーチ、定型文の作成といったルーティンワークは、すべてAIに任せてしまうことができます。

それによって得た膨大な時間を、私たちは「本当に人間にしかできない、目の前の人のための時間」に100%投資できるようになります。

今まで時間がなくて諦めていた「実際に現場へ足を運んで関係者の生の声を聞くこと」や、「不安を抱えるクライアントと、時間を気にせずじっくり向き合うこと」、そして「新しい価値を生み出すための思索に耽ること」ができるようになるのです。

これは、社会全体にとっても大きな救いです。これまでは人間の限られたリソースのせいで手が回らず、こぼれ落ちていたはずの悩みや課題を、AIという強力な武器を得たことで解決できるようになるからです。
○技術革新が起こっても、人間の営みの本質は変わらない

約20年前、インターネットが登場したときも「専門知識の価値がなくなるのではないか」などと騒がれました。
しかし結果として、仕事のプロセスが変わっただけで、人間の営みの本質はなくなりませんでした。

AIを恐れる必要はありません。大切なのは、この新しい相棒をどう使いこなし、空いた時間でどんな人間らしい価値を生み出すか。

作業から解放された私たちが、本来の強みを発揮して誰かを救う。そんな時代の幕開けだと思うのです。

島田雄左 株式会社スタイル・エッジ代表取締役社長。1988年、福岡県生まれ。24歳で司法書士事務所を開業。国内トップ規模の士業グループに成長させる。その後、自身の経営経験を元に、株式会社スタイル・エッジ代表取締役に就任。共創型ビジネスモデルとして士業や医業のコンサルティングを行っている。YouTubeやXで法律、仕事、マネーリテラシーなどさまざまな情報を配信中。
著書に『士業経営』『人生で損しないお金の授業』(共に税務経理協会)がある。公式サイト:https://styleedge.co.jp/、X:@shimadayusuke66 この著者の記事一覧はこちら
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