ベストセラー作家・東野圭吾氏の同名小説を映画化した『白鳥とコウモリ』が公開になった。『夜明けのすべて』など俳優としても乗りに乗る松村北斗(SixTONES)と、朝ドラ『あんぱん』後初主演となる今田美桜がW主演を務める話題作だ。
善良と評判の弁護士・白石健介(中村芝翫)が刺殺された。容疑者として浮上した男・倉木達郎(三浦友和)が、「私がやりました。“すべての事件”の犯人は私です」と自供。事件は解決かと思われたものの、倉木の息子・和真(松村)と、白石の娘・美令(今田)が調書の内容にそれぞれ疑問を抱く。やがて容疑者の息子と被害者の娘という、決して交流してはならない、するはずのないふたりが手を取り合い“真実”へと動き出す。
※編集部注:本記事は物語の核心に触れる内容を含みます。知らない状態で映画をご覧になりたい方はご注意下さい。
○映画『白鳥とコウモリ』★4.1
上下巻からなる長編の原作にはさまざまな人物に付随したエピソードが積み重なっていくが、映画版は和真と美令ふたりのフォーカスに舵を切った。当然、そぎ落とす部分も多くなるが、向井康介の脚本は、十二分に原作リスペクトを感じさせ、ふたりのドラマを深めつつ、別軸エピソードを加えるような余計な作業は行っていない。何をどこで語るかという、映画としての再構成も利いている。
そして物語の中心となる和真と美令。演じる松村と今田の、繊細な演技が光る。
また倉木を演じる三浦友和にも触れないわけにはいかない。セリフが一切ない留置場でのシーンなどは、三浦だからこそ成り立つ場面といっていい。2度目の鑑賞をする機会のある人は、倉木が自供に至る場面を筆頭に、三浦の演技が非常に多弁であることを見てほしい。岸善幸監督も「手が絶品」と評し、セリフを削る決断に踏み切ったそうだ。
さて、本作は145分の作品である。かなりの長尺だが、長さをまったく感じさせない。それぞれのキャラクターの心情や、東野圭吾作品らしく土地も雄弁に物語る情景を、固定カメラでじっくりと撮ることで、作品世界に没入させる。
ラストの動きあるドラマチックなくだりは、もっと抑えても十分だった気がするが、ミステリーとしての真相が分かったことで、本作はすべてが解決とはならない。真実とは、罪とは、業とは、何が正しかったのか……。(映画ではシーンが限られている)織恵から和真へ掛けられる、原作ラスト間際の言葉から伝わるメッセージなど、掘り下げが浅くならざるを得なかった部分もある。だが、和真と美令を主役に絞った物語として映画版はよくできている。
人の気持ちは割り切れず、さまざまな苦しみが残る。映画ラストのドラマチックさは、割り切れない「人間」たちの物語へのせめてもの光なのかもしれない。
(C)2026「白鳥とコウモリ」製作委員会
望月ふみ 70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。











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