北朝鮮で農村支援に動員された住民が炎天下で倒れたにもかかわらず、現場で活動していた宣伝隊が救護に加わらず、最後までスローガンや歌による宣伝活動を続けていたことに、「人命より宣伝を優先した」との批判が広がっているという。
宣伝隊は、金正恩総書記の妹・金与正(キム・ヨジョン)党総務部長が党宣伝扇動部に在籍していた当時、勢力を強めた。
デイリーNKの現地消息筋によると、今月9日、咸鏡南道定平郡の農場で雑草取り(草取り作業)に従事していた住民1人が、強い日差しの中で作業を続けた結果、熱中症とみられる症状を訴えて倒れた。
本来であれば速やかに医療施設へ搬送すべき状況だったが、現場にいた「機動芸術宣伝隊」の宣伝車は動こうとせず、拡声器でスローガンを叫び、革命歌曲を流し続けたという。
倒れた住民は、同じく農村支援に動員されていた人々の手でようやく医療施設へ運ばれた。その後、現場では「人が倒れているのに宣伝ばかり続けていた」と不満の声が相次いだという。
住民の中には「最近は農作業をする農場員より宣伝隊の方が目立つ」「実際に草を取ることより、『草取り戦闘』の雰囲気づくりに力を入れている」と皮肉る声も聞かれたとされる。
北朝鮮当局は今年も食糧増産を最重要課題に掲げ、官公庁や企業、学校、人民班などから大量の住民を農村へ動員している。今年は例年以上に厳しい「4回草取り」の目標が示され、各地で長時間の農作業が続いているとされる。
消息筋によれば、現場では一人ひとりにノルマが課されており、日中の気温が30度を超える猛暑でも作業を中断できない状況が続く。割り当てを終えるまで十分な休憩も取れず、めまいや頭痛を訴える住民が相次ぎ、実際に倒れるケースも発生している。
こうした中、現場で盛んに行われる宣伝活動への反発も強まっている。機動芸術宣伝隊は労働意欲を高めるとして歌やスローガンを繰り返すが、住民からは「疲労感が増すだけ」「うるさくて気が変になりそう」との不満が噴出しているという。








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