ウクライナのゼレンスキー大統領が、ロシアが北朝鮮兵約3万人の追加受け入れを準備していると明らかにしたことを受け、米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」は、この規模は現在のロシア軍が約1カ月で被る人的損耗を補う程度にとどまるとの分析を示した。仮に情報が事実だったとしても、戦局を一変させるほどの兵力増強にはならないとの見方だ。

ゼレンスキー氏は25日の演説で、ロシア西部ボロネジ州では6月から北朝鮮兵の受け入れ準備が進められており、弾道ミサイル発射機の追加供与も計画されていると主張した。また、「ロシアは北朝鮮に戦争の遂行方法や兵器改良を学ばせ、実戦経験を積ませている」と述べ、朝鮮半島を含むアジアの安全保障に与える影響にも警鐘を鳴らした。

これに対しISWは25日付の戦況分析で、3万人という数字はロシア軍の現在の人的損耗を補充する程度にすぎず、決定的な戦力増強には直結しないと指摘した。ここでいう「損耗」は戦死だけでなく、負傷や行方不明、捕虜など戦闘継続が困難となった兵士全体を指す軍事用語であり、「毎月3万人が戦死している」という意味ではない。

一方、ISWは北朝鮮兵が必ずしもウクライナ前線へ投入されるとは限らないとの見方も示している。ロシア国内の施設警備や国境警備、後方支援などに配置されれば、その分だけロシア兵を前線へ振り向けることができ、間接的に戦力維持へ寄与する可能性があるという。

欧米の専門家がより重視しているのは、兵力の数そのものよりも、北朝鮮軍がウクライナ戦争を通じて実戦経験を蓄積している点だ。ドローン運用や電子戦、長距離砲兵の運用、指揮統制など、現代戦のノウハウをロシア軍から吸収する機会となっているとの見方が広がっている。

編集部おすすめ