北朝鮮で、自国通貨ウォンへの不信が都市部から農村へと急速に広がっている。これまで外貨と縁の薄かった農村住民の間でも、わずかな余裕資金をドルや中国人民元に替えて保有する動きが目立ち始めた。

「ウォンを持っていれば損をする」との認識が浸透しているためだ。

デイリーNKの平安北道の消息筋が26日までに伝えた。

同筋によると、龍川郡や東倉郡などの農村では最近、少額のウォンでもドルや人民元に交換するため、近隣の都市へ出向く住民が相次いでいる。日常生活で外貨を使う機会が少ない農村では従来、都市部ほど為替相場への関心は高くなかった。

山間部では市場が10日に1度程度しか開かれず、ウォンや物々交換による取引も多かったという。しかし2024年後半以降、物価と為替レートが急上昇。農村でも商品の価格をその日の為替相場に合わせてウォン換算するケースが増え、通貨安が生活に直接影響するようになった。

消息筋は「2年前から為替レートは上がり続け、国のカネ(ウォン)の価値は下がり続けている」と説明。「以前は外貨に関心がなかった農村の人々も、少しでもカネがあれば外貨に替えて持っていなければならないと強く感じている」と語った。

その差は大きい。消息筋によれば、新型コロナウイルス流行前には100ドルがおよそ80万~90万ウォンだったが、現在は約600万ウォンに達しているという。仮に当時から90万ウォンを現金で保有していた場合、現在の相場では15ドル程度の価値しかない。

一方、100ドルを保有していれば現在は約600万ウォンに交換できる計算だ。

北朝鮮では2009年のデノミネーション(通貨切り下げ)を伴う貨幣改革で住民の貯蓄が大きな打撃を受け、自国通貨への信頼が著しく損なわれた。その後も当局は外貨使用を規制し、ウォンの利用を促してきたが、物価上昇と通貨安が続けば、行政的な取り締まりだけで外貨需要を抑えることは難しい。

両江道の消息筋も、国境地域では人民元が以前から広く使われてきたものの、商売を主な生業としない農村住民はウォンで蓄えるケースが多かったと説明する。それがこの2年間の物価と為替の急騰で一変したという。

農村では今や「国のカネは紙切れより価値がない」「分かっていない人間だけがウォンを持っている」といった言葉まで聞かれるという。

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