推し活、家族、仕事、治療――長年続けてきたものを手放すには、未練や罪悪感、費やした時間とお金への執着がつきまとう。だが、時に“続ける”ことで、人は身動きが取れなくなる。
自分を守り、次へ進むための「やめどき」はどこにあるのか。人生を左右する大きな決断をした人の実例から、その見極め方を探る。

家族との絶縁を告白

元祖セレブタレント・マリエが「家族との絶縁」を告白。絶えない...の画像はこちら >>
元祖「セレブタレント」として’00年代に一世を風靡したタレントのマリエ(39歳)。経営者の父を持ち、裕福な生活ぶりでお茶の間を賑わせた彼女も、現在は自身のアパレルブランドのデザイナー兼経営者。私生活では、1児のシングルマザーとして多忙な日々を送っている。そんな彼女が’26年7月、ウェブメディアの取材で家族との絶縁を告白。戸籍から抜け出す「分籍」という選択をした真意を直撃した。

「6年前、区役所で分籍の手続きをしました。とはいえ、戸籍が別々になっただけで、完全に親子の縁が切れるわけではないですが」

それでも、“けじめ”として必要な手続きだった。

「昔から自分が憧れていた家族の形はうちにはなかったし、両親はお金のことでよく口論していました。子どもの頃、『これで喧嘩をやめて』と手元にあったお年玉の5000円札を差し出したことがあって。子ども心ながら『これは取っておきなさい』と言ってくれるんだろうなと思いつつ渡したけど、母は『ありがとう』とすんなり受け取ったんです。自らの行動だったにせよ、すごくショックでした」

テレビできらびやかに演出された家族の姿は虚像だった。


「トラブルが絶えない家だっけど、『立派な大人なら家族を助けるのは当たり前だ』という固定観念があった。なので、家族関係を断ったり籍を抜いたりという選択肢は、長い間思いつきもしなかったんです。でも、家族に手を差し伸べるたびに『やめとけばよかった』という結果になることが何度も続いた。そして、ある出来事がきっかけで、幸せに暮らす前に、まず『自分と周りが安全に生きられる状態をつくることが必要』という考えに至りました」

「大切な人たちを『守らなきゃ』と思った」

一家に何があったのか。

「彼らの名誉のため詳しいことは伏せますが、家族が抱える問題に加え、金銭面や、私の名前を利用しようとするトラブルが絶えなかった。しまいには仕事先や取引先にも大きな迷惑がかかってしまって……。自分が嫌な思いをするだけで済まなくなって、大切な人たちを『守らなきゃ』と思ったんです」

分籍した日のことは「二度と忘れない」と語るマリエ。

「手続き自体はあっさりしたもので、必要な書類を用意して手数料の数百円を払って終了。それだけのことなのに、すごくホッとしたのを覚えています。これまでの感謝や過去の思い出もたくさんありますが、今は家族からのすべての連絡を断ち切っています」

距離を置くようにしたことで、長年苦しんでいた摂食障害も寛解に向かった。

「すべてが家族の責任だとは思っていませんが、でも明らかに家族関係のストレスが原因の一つだった。かなり重症化した時期もありましたが、分籍してから急激に症状が良くなったんです。私もどこかで家族に甘えていて、理想や期待を抱きすぎてしまっていたのかな。
その思いから解放されたのが大きいと思います」

娘の出産を機に“期待しない”思考に

元祖セレブタレント・マリエが「家族との絶縁」を告白。絶えない金銭トラブル…6年前に下した「分籍」の真相
'22年には娘Olaちゃんをメキシコで出産した。「自分が親からされて悲しかった思いはさせたくない」と娘への溺愛ぶりを語っていた
この“期待への呪縛”を実感したのは、意外にも、分籍から数年たって経験したメキシコでの出産だった。

「結婚はせずに出産したので、誰も頼れない状況でした。しかも私、スペイン語が話せなくて(笑)。わからないことだらけのなか一人で何でもやらなきゃいけなくてテンパっていたけれど、でも不思議と心は穏やかだったんです。

そのときに『誰かが何かをしてくれる』という期待がゼロなら、怒りは生まれない。期待してしまうから苦しかったんだ、と気づきました。分籍をしてよかったと一番思っているのは、このタイミングでしたね」

「同じ失敗は一つもない」

そしてツラい経験を経て、「同じ失敗は一つもない」という考え方が生まれた。

「ここまで来るなかでいろんなことがあったし『また同じ失敗をしてしまった』と後悔するのが一番ツラかった。でもあるとき、何一つとして同じ失敗はないと思うようにしたんです。例えば『またカネのない男にハマっちゃった。

でも前回より体の相性は良かったから、少しは進歩してるか!』とか(笑)。そしたら、気持ちが楽になって自分を許せるようになりました」

酸いも甘いも経験した、かつての「セレドル」。その表情はどこまでも穏やかだ。


【タレント・経営者 マリエ】
1987年生まれ。モデル、タレント活動を経て、’11年パーソンズ美術大学へ留学。’17年に自身のブランド「パスカルマリエ デマレ」を設立

※2026年9月2日号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[不幸にならない[やめどき]の正解]―
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