「長生きできる県」が必ずしも「健康に暮らせる県」とは限らない――。厚生労働省が公表した健康寿命データを分析すると、都道府県ごとに大きな格差が存在する。

さらに、健康寿命のあとの「日常生活に制限のある期間」の都道府県ランキングで、人生の終盤に待つ“健康格差”の実態も浮かび上がった。早速ランキングを確認していこう。(ライター 宮下舞子)



健康寿命のあとにやってくる
「日常生活に制限のある期間」



 日本の「寿命」を巡る常識がいま、大きな転換期を迎えている。厚生労働省が発表した最新データ「健康寿命の令和4年(2022年)値について」をひもとくと、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である「健康寿命」には、大きな地域格差が存在することが浮き彫りになったのだ。



 しかし、私たちが本当に恐れるべきは、健康寿命の短さそのものだけではない。「平均寿命」と「健康寿命」の間の空白期間である。



 厚生労働省はこの期間を「日常生活に制限のある期間」と定義し、都道府県別に平均期間を発表している。



 最新の全国平均値は男性が8.49年、女性が11.63年。つまり、平均的には人生の終盤に、健康上の問題で日常生活動作、外出、仕事、家事、運動などに何らかの制限がある期間が生じることを意味している。この期間について都道府県別の「長さ」に注目してみよう。



健康寿命のあとの「生活に制限のある期間が長い」都道府県ランキング【トップ5】男性2位長野・女性2位奈良、1位は?
図表:男性「日常生活に制限のある期間」が長い都道府県ランキング【トップ5】


健康寿命のあとの「生活に制限のある期間が長い」都道府県ランキング【トップ5】男性2位長野・女性2位奈良、1位は?
図表:女性「日常生活に制限のある期間」が長い都道府県ランキング【トップ5】


 男性2位の長野県は「長寿県」として有名だが、男性の平均寿命が長いため、実は「日常生活に制限がある期間」そのものは男性で9.47年と、最も短い青森県(7.14年)より2年以上も長くなっている。



 青森県は平均寿命が全国最下位の「短命県」として有名なため、単純比較することは難しいが、長野県は平均寿命が長いため、健康寿命との差も長く出やすい面がある。



 一方で、健康寿命が短いがゆえに、日常生活に制限なく暮らせる期間も短くなっている都道府県も多く存在する。男性であれば、制限がある期間が最も長い兵庫県、同3位の京都府、同4位の広島県、同6位の東京都などは、すべて健康寿命ランキングでもワースト20に入っている。5位は岡山県だった。



 女性も顕著だ。日常生活に制限がある期間が最も長くなってしまっている神奈川県は、健康寿命においてもワースト3位。次いでこの制限期間が長い奈良県も同様に健康寿命はワースト6位、ほかにも日常生活に制限がある期間3位の兵庫県、4位の宮城県や、徳島県沖縄県がどちらのランキングでも下位となっている。5位は鳥取県だった。



 日常生活に制限なく暮らせる期間の短さは、個人の幸福度だけでなく、残された家族の介護負担や、地域の医療・介護負担にも影響を与える可能性がある。



 今回公表された数値は調査を基にした推計値であり、わずかな順位差だけで各県の健康状態を断定できるものではないし、単に都道府県を評価する「通信簿」ではない。しかし、私たちがこれから迎える「老後」という現実のリアルな予兆の一つであるといえるのではないか。

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