最近、テレビで上原わかなの姿を見かけることが多くなった。お得意の大食いを活かした番組はもちろんのこと、まったく関係のない番組にまで出演しはじめている。
ただ、せっかく露出が増えてきているというのに、プロレスラーであることをアピールするための最強アイテムのチャンピオンベルトを3月に失ってしまった。このあたりのタイミングはどうにも歯がゆいところだが、上原わかなは早くもシングル王座獲りに向けて動き始めた。自身を『強欲』と評する彼女のインターナショナルな真夏の快進撃プランとは?

【写真】7月18日、インター王者・鈴芽に挑戦する上原わかな【2点】

女子プロレスラーとして闘いながら、タレントとしても活躍中の上原わかな。これまで大食い番組の常連としてプライムタイムにたびたび登場してきたが、ここにきてテレビへの出演頻度が上昇中。さまざまな時間帯の、さまざまな番組で顔を見かけるようになった。

「ありがたいことですけど、私としてはやっとスタートラインに立てたな、という感じですね。もっともっと、たくさんの番組に出演していきたいし、とにかくメディアでの露出を増やしていきたいんですよね。できたらCMもやってみたい。私『強欲』なんですよ(笑)」

テレビ出演だけでなく、5月からはYouTubeでも英語で配信する、という新機軸を打ち出している。

「以前から海外でも活動したいとは思っていて、最近ではアメリカなどで試合をする機会も増えてきたんですけど、こればっかりは待っているだけではなかなか進まない。だったら英語で世界中に発信しようと思ったんです。いまから大食いでYouTubeに参入するのは難しいって言われているんですけど、アジアの女の子で大食いを発信している人って意外と少ないんですよ。
これはブルーオーシャンだなって。可能性に賭けて、というのではなく、確実にその枠を取りにいってます!」

彼女がここまでメディア露出にこだわるのは「東京女子プロレスの宣伝隊長になりたい」という想いが強いから。もっとたくさんの人に会場へ足を運んでもらいたい、東京女子プロレスの試合を観てもらいたい。そのためにはどんどんテレビなどに出ていって、まずはその存在を知ってもらう必要がある。

今年の3月、東京女子プロレスは両国国技館大会を開催し、大成功をおさめたが、それ以降、確実に観客動員数がアップ。さらなる飛躍を目指して、昇り調子のまま、夏を迎えようとしている。そんな状況だからこそ、上原わかなにはちょっと引っかかりが残っている。それは団体が上昇気流に乗るきっかけとなった両国国技館でタッグ王座から陥落してしまったこと。せっかくテレビ出演の機会が増えたのに、チャンピオンという肩書きを使えなければ、カメラの前でチャンピオンベルトをアピールすることもできなくなってしまったのだ。

「そうなんですよ。ベルト、持っていきたいですよね~。正直、チャンピオンになるまではテレビに出ても胸を張って「プロレスラーです!」とは言いにくかった。
まだ自信もなかったし。でもベルトを巻いたら『私、チャンピオンなんです』って堂々と言えるし、周りの人たちも、ものすごく興味を持ってくださる。だから、ベルトが欲しいんです」

タレント活動が順調で、YouTubeであとがも新機軸を打ち出した。あとはプロレスラーとして大きな看板を手に入れることさえできれば、大きな相乗効果を得られるようになることは必至。だから上原わかなは7月18日、後楽園ホールで鈴芽が保持するインターナショナル・プリンセス王座に挑む。

「鈴芽さんはスピードがある選手ですけど、それだけじゃなくて奥が深い選手。大食いをしていても『あっ、これぐらいの量だったら楽勝だ」と思っていても、食べている途中で苦しくなってくることがある。鈴芽さんはまさにそういうタイプだと思うんです。でも、大食いでの経験を活かして、しっかりと鈴芽さんを『完食』して、ベルトを巻きたい。海外も視野に入れている私にとって、インターナショナルの名のついたベルトは絶対に手に入れたいんですよ』

昨年秋にタッグのベルトを巻いてから、上原わかなは確実に変わった。これまではインタビューをしていても、どこかフワフワしたところがあったが、すっかり自信に満ちた表情で受け答えしてくれるようになった。王座在位は半年ちょっとだったが、上福ゆきとのタッグチーム『オーバーイーツ』はもう1年以上も組み続けている。
その上福から公私に渡ってたくさんのアドバイスを受けたことでプロレスラーとしての技術面でも、メンタル面でも大きく脱皮できた。

先日、上福ゆきのインタビューをする機会があった。取材が終わったあとの雑談で「上福さんのおかげで上原さんは成長できましたね。これからも楽しみですよ』と言ったら、上福は「これから? ないよ!」と言い放った。

「いままではチャンピオンだったから、どうすればベルトを守れるか、もっと強くなれるってふたりで考えなくちゃいけなかったけど、もうベルトはないし、パートナーでもないんだよ。だから、いままで通りにあれもこれもとアドバイスすることはもうないよ。私は上原の保護者じゃないんだから、いつまでも頼られたって困る。チャンピオンだった経験を上原がひとりで活かしていくしかないと思うんだよね。いつかはこうやって突き放さなくちゃいけないし、それって今なんじゃないの?」

こちらの上福のアドバイスをそのまま上原わかなに伝えることにした。いままでの彼女だったら、きっと泣き出してしまうだろう。だが、この日はひとことひとこと噛みしめるように耳を傾けると、微笑みを浮かべて「上福さんらしい言葉ですね。きっと私のことを考えて、こんなことを言ってくださったんだと思います」と7.18後楽園でのシングル王座奪取に向けて、改めて決意を固めた。


このインタビューの数日後、上福ゆきは年内での引退を電撃発表した。なんで上原わかなに対して、あんなに冷たい言葉を放ったのか、そして上原わかながそれを微笑みで受けとめたのか……すべてが一本の線でつながった。上原わかなは独り立ちを果たして、世界に飛翔することができるのか?

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