7月クール、主要ドラマの初回放送が出揃った。今年の夏ドラマの最大の特徴は、かつてのレジェンド級作品の続編と、ネット視聴を味方につけた実力派・人気若手俳優たちの激突だ。
TVerのお気に入り登録数やウェブ検索数といったデジタル指標から、開幕ダッシュを決めた夏ドラマ5選とその魅力を分析する。

【関連写真】『VIVANT』シーズン2に出演中の二宮和也

まずTVerお気に入り登録数267万(執筆時点)とぶっちぎりでトップを独走するのは、大ヒット作の続編で堺雅人主演の日曜劇場『VIVANT』シーズン2(TBS系)だ。シーズン1から登録数を引き継いでいるとはいえ、放送開始前から50万を上積み、歴代TVer登録数でも長らく1位だった『silent』(フジテレビ系)を抜き去り首位交代劇を見せた。

初回の平均世帯視聴率も18%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下/同)と近年稀にみる高水準。民放連ドラでは前作最終回の19%台以来、約2年10か月ぶりの18%超え。世帯視聴率は主に中高年層の支持が反映されるが、TVer登録数はネット視聴習慣のある「若年層」あるいは繰り返し視聴をする「ドラマ通」にウケなければならない。今作は世代や視聴習慣を問わず幅広い層に刺さっているようだ。

シーズン1のラストシーンから直結する今作でも、堺が自衛隊の非公認部隊「別班」の乃木憂助とその別人格“F”の2役を巧みに演じ分けている。前作でテロ組織創設者である父親と決着をつけたかに思えた乃木だったが、別班として新たな任務に召集され、さらなる巨大な陰謀の渦へ再び飛び込んでいく。阿部寛、二宮和也、松坂桃李ら主演級俳優も続投し、再び誰が味方か敵か分からない緊迫感の中、テンポ良く物語は進む。

TVer登録数2位は蒼井優主演『Tシャツが乾くまで』(TBS系)の111.2万。
脚本の生方美久氏は『silent』はじめ3作を歴代TVer登録数トップ10に送り込んでいる。今作もわずか3話で、続編を除く完全新作夏ドラマにおいて唯一3桁に到達した。何気ない会話の中にも核心を突く台詞が散りばめられ、蒼井、中島歩、松山ケンイチといった演技巧者が小気味良い会話劇を繰り広げる。愛する人を失う悲劇から始まりながら、単純な感動ドラマにも不倫ドラマにも収まらない新たな生方劇場が展開されている。

TVer登録数3位は1998年版から引き続き反町隆史が主演を務める2026年版『GTO』(関西テレビ・フジテレビ系)の94.9万。28年前に型破りな教師として時代を変えた主人公・鬼塚英吉が、50代になった今、令和の学校と生徒と向き合う。鬼塚の昭和・平成気質は相変わらず。だが、コンプラ意識が高まり、社会の閉塞感、教育現場の疲弊、若者の孤立がより顕著になった令和において、生徒への愛ある鬼塚らしさを貫きつつも、手段を変えながら問題に立ち向かっている。

TVer登録数4位は山田涼介(Hey! Say! JUMP)主演『一次元の挿し木』(読売テレビ・日本テレビ系)の88.1万。『このミステリーがすごい!』大賞である小説原作だが、息を飲む美青年でありながら深く闇落ちた主人公演じる山田が、原作ファンから受け入れられている。4年前に行方不明になった主人公の義理の妹と200年前の古人骨のDNAが一致するという謎を契機に、製薬会社、中国企業、宗教団体と様々な思惑が交錯。その中でも義理の妹のため真相に迫るべく、凄まじい執念を見せる山田が新境地を切り拓いている。


TVer登録数5位は松村北斗SixTONES)がテレビドラマ初単独主演を務める『告白-25年目の秘密-』(日テレ系)の81.2万。幼少期に出会った女性に25年間片思いし、「見守る」という体でつきまとい続けるストーカー青年を松村が怪演。山田とは別のベクトルで執着が激しく、それでいて職場では普通に馴染んでいる主人公がとにかく健気で怖くて怪しい。実際に周囲にいそうだとも思わせる松村の技量に感服する。

ここまでがTVer登録数のトップ5だが、Googleトレンドでそれぞれの過去30日間のウェブ検索数を見てみると、『VIVANT』の初回が断トツの最高値を記録。それを100とすると、『GTO』初回が43、『Tシャツが乾くまで』第3話が16、『告白』初回が15、『一次元の挿し木』初回が11となっている。ドラマ通以外の一般層や、若年層の期待が反映されやすいウェブ検索数においては、『VIVANT』、『GTO』と大型続編が強い。ただし、『Tシャツが乾くまで』のみ、初回から検索数を落とすことなく第3話で数値があがっているため、今後の展開次第ではさらなる反響が期待できそうだ。

以上が、ネット指標を中心に開幕ダッシュを決めた夏ドラマ5選となる。今夏は、『VIVANT』や『GTO』のような圧倒的なブランド力を持つ作品が牽引する一方で、『Tシャツが乾くまで』のように脚本の質で視聴者を引き込む作品や、山田、松村のようなトップスターが新たな一面を見せる作品がデジタル指標で上位を占めている。中盤戦以降、どの作品がその数値を伸ばし、真の社会現象へと昇華するのか注目したい。

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