「ワインってなんだかよくわからない」多くの人がそう思う理由の一つが、ワインを選ぶときの要素の多さです。

赤ワインと白ワイン、そしてスパークリングワインという泡の出るものもある。
ただ、その先となると一気に難しい。赤ワインと言ったって種類は無数にあるし、味も香りもぜんぜん違う。

前回赤と白、それぞれの代表的なぶどうの品種について解説しました。これだけでもワインの基礎が分かって楽しいのですが、今回はそこからさらにステップアップ。多すぎるワインの要素をシンプルにサクッとまとめます。

ワインの味と香りは5つの要素で決まる

ワインの味と香りは、ざっくり言うと、次の5つの要素で決まります。

ぶどう品種
産地
生産年
製法
生産者

うわ、ややこしそう……と思いますよね。ちょっと視点を変えてみましょう。

ビジネスの考え方で「5W1H」という考え方があります。「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」で整理する考え方です。先ほど挙げた5つの要素は、要するにこの5W1Hなんです。

「なぜ」は省きましょう。
なぜワインを作るのかって、それはおいしく飲んでほしいからですよね。

すると、こうなります。

ぶどう品種:「何を」

産地:「どこで」

生産年:「いつ」

製法:「どのように」

生産者:「誰が」

つまり、ワインの味と香りは、「誰が、いつ、どこで、何の品種で、どのように作ったか」で決まるというわけです。
最も重要なのは「ぶどう品種」

ただ、これだとまだ要素が多いですよね。ワインを選ぶのに、いちいちこの5つを考えるのは無理筋です。

そこで、各要素の重要度を独断と偏見によりグラフで比較してみました。

ご覧のとおり、圧倒的に「ぶどう品種」の割合が高いことがわかります。人によって意見は異なりますが、おそらく多くのワイン好きが「ワインの味と香りに最も影響を与えるのはぶどう品種」と考えているはずです。

ここで、ひとつ疑問に思われたかもしれません。

「『生産者』の要素はどこに行った……?」と。

もちろん、誰がそのワインを作るのかはとても重要です。

ただ、「生産者」はちょっと他の要素とは立ち位置が違います。
「どんなぶどう品種で作るか」「どんな製法で作るか」などを決めるのが「生産者」ですから、極端な話、ワインに与える生産者の影響度は「100%」になってしまいます。というわけで、ここでは外して考えたいと思います。

さて、ぶどう品種にはさまざまな種類があり、それぞれに味わいの特徴があります。たとえば、赤ワイン用の「カベルネ・ソーヴィニョン」という品種は渋味が強く、どっしりと重い味わい。「ピノ・ノワール」という品種は渋味が穏やかで酸味が強く、花のような香りがある――という感じです。

ワインはまず、この「ぶどう品種」によりベースの味と香りが決まり、そこに「産地」や「製法」のかけ合わせでバリエーションが生まれると考えてください。
産地や製法、生産年の影響度は?

前回紹介したワインの基本的な品種を元に、図で説明しましょう。

ここでは、各品種を赤、青、黄で表現しました。

赤にもさまざまな赤があります。濃い赤もあれば、薄い赤もあり、ルビーのような赤もあれば、えんじ色のような赤もあります。しかし、色調が違うだけで、どれも「赤」であることには違いありません。

「産地」や「製法」の影響とは、この色調のようなものだと考えてください。


たとえば、フランスの「カベルネ・ソーヴィニョン」と、アメリカの「カベルネ・ソーヴィニョン」は、産地が違うので味わいや香りの雰囲気が異なります。

しかし、あくまでもカベルネ・ソーヴィニョンというぶどう品種のベースがあって、その上での違いです。

産地が違っても、カベルネ・ソーヴィニョンがピノ・ノワールみたいになることはまずないのです。

最後に「生産年」ですが、とりあえず今は無視して構いません。

ワインはぶどうから造られるお酒で、いわば農作物です。ですから、年ごとの天候の影響を受けます。

ですが、昔と違って技術が進歩した現代では、天候が荒れた年であってもきちんとしたワインが造られます。

もちろん、多少の違いは出るのですが、それよりもぶどう品種のほうが圧倒的にワインの味と香りに影響を与えます(生産年については、本連載のもっと先で解説します)。

ワインの味と香りを決めるのは、一にも二にもぶどう品種なのです。

レストランやワインショップでワインのラベルを見て惑わされないでください。

見るべきはただ一つ、ぶどう品種です!
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