幼い頃から何度も何度も観返し、「初めて観た作品」としても特別な思い出を持つ『トイ・ストーリー』。そんな大好きなシリーズの最新作『トイ・ストーリー5』(公開中)で、日本版声優を務めた佐野勇斗は、「作品を純粋に楽しめなかった」と意外な本音を明かす。
それは、長年愛し続けてきた作品だからこそ抱いた責任感と、「もっとできたのではないか」という俳優としての飽くなき探究心ゆえだった。
インタビューでは、スマーティー・パンツ役に込めたこだわりや、子どもの頃から変わらない『トイ・ストーリー』への愛、そしてM!LKとして活動する中で大切にしているファンとの関係性についても語ってくれた。作品への真摯な向き合い方からは、佐野の誠実な人柄が垣間見えた。
○「手放しには観られなかった」 作品への愛とプロ意識
――長年、『トイ・ストーリー』の大ファンだそうですね。シリーズとの出会いを教えてください。
出会いは覚えていないくらい小さい頃で、初めて観た映画が『トイ・ストーリー』なんじゃないかなと思います。僕が1998年生まれなので、1・2は物心がつく前から観ていて、自分の意志で映画館に観に行ったのは『トイ・ストーリー3』なんです。
――すると、『トイ・ストーリー3』がシリーズの中では思い出深い作品になりますか?
自分の意志で観に行ったという思い出があるのは3なのですが、一番観ているのは1なんですよね……選べません(笑)。
本当にたくさん観てきています。車で家族と出かけるときもDVDで観ていたり、家の中でも流れていたりするような環境でした。
――そんな大好きな『トイ・ストーリー』の世界に参加されましたが、完成した作品を観て、どんな気持ちでしたか?
これはマイナスに聞こえたら嫌なんですが、やはり手放しには観られなかったというか……正直、何も考えずに、『トイ・ストーリー5』を作品として楽しむことはできなかったです。
これは声優をやらせてもらえた代償という言い方が正しいのかは、わからないのですが、物語を楽しみながら、どうしても「大丈夫かな……」という気持ちがありました。
――日本版声優発表のイベントでも、納得がいかずに録り直しをしたとお話しされていました。
そうですね。これは何回やったとしても、「大丈夫かな」と思う気がしますし、気になってしまう、と思いました。『トイ・ストーリー』への愛はもちろんありますが、僕はどの作品でも毎回「もう少しこうしたらよかった」と思う部分があります。
――いち観客としては、スマーティー・パンツの声が佐野さんだと言われなければ気づかないほどの溶け込み方をされていたと感じました。今回のスマーティー・パンツの声を演じるにあたって、アフレコ現場で意識していたことはありますか?
馴染み具合、『トイ・ストーリー』に染まれるかという部分は意識していました。現場にいらっしゃった吹替監督もずっと『トイ・ストーリー』に携わってきている方なので、とにかく柔軟に対応できるようにしたいと思って、吹替監督の話をしっかり聞くようにしていました。
――また、今回の出演について周囲からの反響はありましたか?
M!LKのメンバーはみんな「すごいね!」と言ってくれました。一番驚いていたのは、(塩崎)太智(※崎はたつさき)かな。太智はディズニーがとても好きなので!
○幼少期から“変わらない”部分とは――
――作品では、アンディからボニーへと受け継がれながら、おもちゃたちが大事にされ続けていますが、佐野さんは幼少期から大事にされているものはありますか?
上京するときに置いて行ったりしていて、今も持ち続けているものがないんですよね……一個もないかもしれないです。ゼロです……逆にありますか(笑)?
――私も『トイ・ストーリー』で育ってきた世代なんですが、幼少期に買ってもらったウッディとバズのおもちゃは今も持っています(笑)。
そうなんですね! 僕もウッディとバズが好きって言っているので、いただいたりして大量にいるんですよ(笑)。
――確かにファンの方からいただく機会も多いですよね。では、お仕事を始めてから大事にしていることはありますか?
今度は物ならあるんだけどな……(笑)。上京当時からずっと使っている机とソファーは大事にしています。マインドとかだとすると、“どうせやるなら全力で”ということは大事にしています。
――ありがとうございます。子供の頃から、今一番変わったと思うところと、変わらないところを教えてください。
変わったところは体力です。もう毎日眠たくて、眠たくて(笑)。年々体力がなくなってきている気がします。変わらないところは、ポテトが好きなところ。ずっと好き……いつ食べてもおいしい! 粉をふりかけるタイプが特に。
――ちなみに一番好きな味は……?
う~ん、コンソメも好きですけど、コーンポタージュが意外と好きです! これ需要ありますか(笑)?
○M!LKとして大事にし続ける“ファン”との関係性
――(笑)。今作では「時が流れても変わらないもの」が1つのテーマになっていますが、俳優、そしてM!LKとして活動するうえでこれからも変わらずに大事にしたいものはありますか?
もちろんメンバーとは、何年経ってもこの関係性を続けていきたいと思いますし、ファンの方との関係性もそう思います。
最近ありがたいことに多くの方に知ってもらえていて、規模が大きくなればなるほど、ファンの方との関係性や距離も変わってしまうと思うんです。ただ、そこは感じさせたくないという気持ちはありますし、そこはメンバーともよく話し合う議題です。
――M!LKの皆さんは本当にファンを大事にされている印象があります。これまで何度か取材させていただいていて、皆さんのお辞儀の深さが印象に残っているのですが、ファンの方からもそういった声が多いと伺いました。これも感謝の気持ちの表れなんでしょうか?
M!LKのメンバーって、みんな頭がでかいんですよ。だから重たくて下がってきちゃうみたいな感じらしいです(笑)。
というのは冗談で、正直に言えばファンの方には、本当に感謝しているので自然となんだと思います。僕らもファンの方に言われて気づいたんです。
バラバラじゃなくてそろえてお辞儀をしようとかは話したことはありましたけど、秒数や深さをメンバーで決めているわけでもないんです。すごいかっこつけているみたいに聞こえてしまうんですけど、本当に何も決めていないんです。
――ファンの方への感謝の気持ちがグループで同じということですね。ありがとうございました。
■佐野勇斗
1998年3月23日生まれ。愛知県出身。2015年2月公開の映画『くちびるに歌を』で俳優デビュー。近年の主な出演作は、NHK連続テレビ小説『おむすび』(24~25)、NHK『ひとりでしにたい』、日本テレビ系『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(25)、テレビ朝日系『おコメの女 ―国税局資料調査課・雑国室―』(26)など。ボーカルダンスユニット・M!LKのメンバーとしても活動している。

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