ヒーローは時代とともに生まれ、そして消えていきます。しかし、ウルトラマンは違いました。
1966年の放送開始から60年。世代を超え、国境を越え、いまなお新しい表現者たちの想像力を刺激し続けています。

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photo by ©FASHION HEADLINE

渋谷PARCOで開催中の企画展「SHUWATCH with U」は、ウルトラマンシリーズ60周年を記念した展覧会です。しかし本展が提示するのは、懐かしいヒーローの回顧録ではありません。そこにあるのは、なぜウルトラマンが60年ものあいだ人々に愛され続けてきたのか。そして、その存在が現代アートのなかでどのように生き続けているのかという問いです。

ウルトラマンはキャラクターを超えた存在になった
1966年、“特撮の神様”と呼ばれた円谷英二らによって生み出された『ウルトラマン』は、日本のテレビ史におけるひとつの転換点でした。

怪獣と戦う巨大なヒーロー。

そのシンプルな構図は、子どもたちの心を強く捉えました。しかし60年を経た現在、ウルトラマンは単なるテレビキャラクターという枠組みを超えています。それは、日本のビジュアルカルチャーの原風景であり、多くのクリエイターにとって創作の出発点でもあります。

なぜウルトラマンは描かれ続けるのか──『SHUWATCH with U』が示す60年の想像力
Vance Yuan | photo by ©FASHION HEADLINE

今回、NANZUKAのキュレーションによって集められた12名のアーティストたちもまた、それぞれ異なる形でウルトラマンと向き合っています。


アーティストたちは何を見ているのか
興味深いのは、多くの作家が作品について語る際、ウルトラマンそのものではなく「記憶」について語っていることです。

ロビィ・ドゥウィ・アントノ氏は、「私の想像力を静かに形づくった光のような存在でした」と語ります。また岡﨑龍之祐は、「憧れは思い出として終わらない」と語り、幼少期に身体へ刻まれた感覚が現在の制作へとつながっていることを示唆します。

なぜウルトラマンは描かれ続けるのか──『SHUWATCH with U』が示す60年の想像力
Ryunosuke Okazaki | photo by ©FASHION HEADLINE

彼らにとってウルトラマンは、懐かしいキャラクターではありません。想像力の起源であり、創作の原点なのです。

ヒーローは現代アートになれるのか
本展には、ジャン・ジュリアン、ロビィ・ドゥウィ・アントノ、ヴァンス・ユアンなど、国際的に活躍するアーティストたちが参加しています。彼らが共有しているのは、日本で育った記憶ではありません。それでもなお、ウルトラマンという存在に惹かれています。

なぜウルトラマンは描かれ続けるのか──『SHUWATCH with U』が示す60年の想像力
左)Vance Yuan、右・中央)Pex Pitakpong | photo by ©FASHION HEADLINE

ヴァンス・ユアンは、「ウルトラマンはテレビの前の子どもたちに、一歩踏み出す勇気と心の強さを与えてくれる存在だった」と語ります。この言葉は、本展を読み解く大きなヒントになるでしょう。

なぜウルトラマンは描かれ続けるのか──『SHUWATCH with U』が示す60年の想像力
Ron DeFelice | photo by ©FASHION HEADLINE

ウルトラマンは怪獣と戦うヒーローとして輸出されたのではなく、「勇気」や「希望」という普遍的な感情とともに世界へ広がっていったのです。だからこそ、その姿は現代アートの題材としても成立します。


怪獣たちもまた、想像力の象徴だった
会場ではウルトラマンだけでなく、バルタン星人をはじめとする怪獣たちも重要なモチーフとして扱われています。とりわけ大平龍一による限定ソフビ彫刻《宇宙忍者バルタン星人》は、本展を象徴する作品のひとつです。

なぜウルトラマンは描かれ続けるのか──『SHUWATCH with U』が示す60年の想像力
photo by ©FASHION HEADLINE

木彫による原型をもとに制作されたこの作品は、単なるキャラクターグッズではありません。大平氏は、「元の造形を知る一番の手段」として彫刻を位置付けています。怪獣を再現するのではなく、その思想や造形の本質を追体験する行為として捉えているのです。

各100体限定で販売されたマゼンタとシアンのエディションは、会期早々に完売となりました。それは怪獣人気というよりも、ウルトラマンという文化が持つ現在進行形の影響力を物語っているようにも見えます。

「あなたの光」を信じる物語
ウルトラマンシリーズ60周年プロジェクトでは、ひとつのメッセージが掲げられています。

ウルトラマンは知っている。あなたには、あなたの光があることを。それは、他の人よりすごいとかじゃない。特別な力でもない。
訓練して身につけるものでもない。誰もが生まれながら持っている小さな光。それは、勇気かもしれない。希望を失わない強い気持ちや思いやりかもしれない。小さな光を見つける。大切にする。それはいつかあなたを導いてくれるだろう。あなたの光を、ウルトラマンは信じている。

(出典: Ultraman Series 60th Anniversary)

ウルトラマンが60年間愛され続けてきた理由は、怪獣を倒す強さではなく、人間のなかにある小さな光を信じ続けてきたからではないでしょうか。

渋谷から再び世界へ
「SHUWATCH with U」は、ウルトラマンを展示する展覧会ではありません。それは、60年にわたって受け継がれてきた想像力を展示する場所です。

なぜウルトラマンは描かれ続けるのか──『SHUWATCH with U』が示す60年の想像力
photo by ©FASHION HEADLINE

ヒーローと怪獣。
光と闇。記憶と現在。アートとポップカルチャー。そのすべてが交差する空間のなかで、私たちは改めて問いかけられます。

なぜウルトラマンは描かれ続けるのか。その答えは、おそらく作品のなかではなく、それぞれの心のなかに残り続ける「光」の記憶にあるのかもしれません。

INFORMATION
SHUWATCH with U

会期:2026年7月3日(金)~8月3日(月)
会場:PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)
開館時間:11:00~21:00
※入場は閉場30分前まで
※最終日は18:00閉場
入場料:500円
※小学生以下無料
主催:PARCO
キュレーション:NANZUKA
協力:円谷プロダクション
デザイン:YAR
©TSUBURAYA PRODUCTIONS
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