レビュー

「もっと早くベッドに入ろう」「寝る前にスマホを見るのをやめよう」「運動を増やそう」。睡眠不足の改善や睡眠の質向上は、努力によって対処できる問題として語られることも多い。

しかし、そうした努力が難しい、あるいは努力をしても改善しなかったという人も少なくないのではないだろうか。そんな人に、本書は新たな視点を与えてくれる。
著者の田口里奈氏は、薬剤師として睡眠に悩む患者と向き合った経験を持ち、現在は医療職インテリアコーディネーターとして活動している。医療、睡眠、インテリアという3つの知見を生かし、これまで500件以上の空間提案を行ってきた。
本書で一貫して語られるのは、眠りの質は本人の生活習慣だけでなく、住まいの環境にも大きく左右されるという視点である。照明の色や、部屋のレイアウト・色など、空間と睡眠の関係を豊富な研究成果をもとに解き明かしていく。
特に印象的だったのは、「夜の睡眠は朝から始まっている」という考え方だ。朝に浴びる光や、日中に過ごす場所が夜の眠りに影響することを知ると、睡眠を改善するためにできることは想像以上に多いと気づかされる。
睡眠不足を改善したい人はもちろん、在宅勤務でオンとオフの切り替えに悩んでいる人にも一読を勧めたい。本書を読めば、部屋を整えることは、単なるおしゃれのためではなく、健康や仕事のパフォーマンスを左右することなのだと実感できるだろう。

本書の要点

・在宅ワークなどで室内にこもる時間が長いと、体内時計が乱れやすくなる。生活リズムや睡眠の質、日中の集中力の低下は、意志の弱さではなく空間環境が原因かもしれない。


・照明の色を時間帯やライフスタイルに合わせて切り替えることが、睡眠の質と日中のパフォーマンス向上につながる。
・朝や日中に日光を浴びることは、夜の睡眠の質だけでなく、認知機能や集中力の向上にも役立つ。窓際で過ごす時間を増やすなど、光環境を意識するとよい。



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