レビュー
国民的アニメとして人気の『ドラえもん』。その原作マンガは、1970年の高度経済成長期に誕生した。
のび太たちのたまり場である「土管のある広場」など、物語は昭和的な風景の中で展開する。それなのに、令和の今も古さを感じさせず、幅広い世代に愛され続けているのはなぜか。その理由について著者の横山泰行氏は、「登場するキャラクターたちが、時代も場所も問わず、どこにでもいそうな感じがするからではないか」と考察する。
著者は富山大学人間発達科学部名誉教授でありながら、マンガ『ドラえもん』を研究し続けている「ドラえもんアナリスト」でもある。これまで『ドラえもん』を100回以上熟読し、登場人物の言動を分析してデータベース化してきた。ドラえもん関連の著書は50万部を突破し、本書は前著『「のび太」という生きかた』の続編となる。
のび太はぐうたらでいくじなし、テストは0点ばかりの典型的な「ダメキャラ」として描かれる。しかし同時に、喜怒哀楽を素直に表現し、人のしあわせを心から願い、不幸を悲しむやさしさを持ち合わせている。将来、憧れのしずかちゃん(マンガではしずちゃん)と結婚して幸せになれるのは、そんな人間としての真っ当さゆえではないだろうか。著者はのび太を「人生を上手く生きる天才」と断言し、のび太のセリフから学べる36の「教え」を紹介する。
本書では、数々の『ドラえもん』の名シーンが取り上げられる。マンガを読むような感覚でページをめくり、楽しみながら「人生を上手に歩むヒント」をつかんでほしい。
本書の要点
・のび太はダメ人間のようで、実は人生を上手く生きる天才だ。のび太のことばには、人生をラクに自分らしく生きるヒントが詰まっている。
・自分の弱さを認めることで、他者の弱さを理解できるようになる。弱いことは決して悪いことではない。
・人間は、他人のことはよくわかるのに、自分のことはわからない。「ありがた迷惑」もお互いさまである。
・自信をなくしているときは、自分で勝手に評価を下げていることが多い。周りの人を頼って、悪い思い込みから抜け出すことが大切だ。
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