【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】
先日、あるドラマプロデューサーと話をしていて、撮影中に「あわや」というところで事故が起きそうになるという話題になった。そういえば、2年ほど前にも配信系ドラマの撮影中に照明機材が落下し、女優の山本美月と麻生祐未が救急搬送されたという事故があった。
実は、危険な状況で撮影が行われることは昔からで、落語家の林家正蔵もまだ二つ目だった林家こぶ平時代にドラマ撮影中の車の事故で重傷を負い、しばらく仕事を休まざるを得なかった。
神田正輝からもこんなことを聞いたことがある。
「西部警察のロケはひどかったよ。ヘリコプターから縄ばしごを垂らしてそれに掴まり、上空に上がったところで大爆発が起きるというシーンを撮ったんだけど……」
縄ばしごに掴まると、ハテ命綱がない?
「落ちたらどうするんだと言ったら、『爆発だから一発勝負だ。がんばれ』と返され、そのまま本番スタートだよ」
死にたくなかった神田は必死にしがみついていたそうだ。
「石原プロは人使いが荒いというレベルじゃない。俳優ひとりひとりがしっかりしてないと危ない」
当時を振り返って苦笑いしていた。
故・松方弘樹さんも同じようなことがあったらしい。彼は俳優業だけでなく、海外で大きなマグロを一本釣りする番組でも人気だったが、ある時、極寒の海で大きな船から釣りのためのボートに飛び移るシーンを撮ると言われたという。まだ明け方の暗い海での撮影なので、「落ちたら死んじゃうぞ」と翻意を促したが、まさかの答え。「松方さんはボートに慣れているし、(落ちても)カメラで追っているから大丈夫でしょ」といなされたらしい。
かく言う僕も、ある大きな事故現場をヘリコプターに乗って取材していた時に、かなり危険な目に遭ったことがあった。ヘリコプターでの撮影はドアを開きっぱなしにして、ドアの上の天井からチェーンでつるしたカメラで撮影する。カメラマンは命綱をお腹にまき、膝下をドアから空中に投げ出す格好で床に座りながら撮る。そんな状況でディレクターが「城ちゃん、リポートして」と言い出した。僕は着席しているため地上の様子が見えにくかったので、「ええい!」とシートベルトを外してしゃべり始めた。
その瞬間、風にあおられたヘリコプターが揺れ、あわやドアから落ちそうになった。必死に座席にしがみついたが、今も撮影中の事故のニュースを聞くたび、「安全第一だよ」と考えてしまう。
(城下尊之/芸能ジャーナリスト)

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