【今週グサッときた名言珍言】


「私の反逆精神ってなんだろうって思ってたら、ロックって言ってもらって『それだ!』って」
木村多江NHK「あさイチ」6月12日放送)


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 木村多江(55)といえば、おしとやかで落ち着いた上品な女性というイメージがある。だが、共演経験もあり、友人でもある坂井真紀は「ロックの人」と評す。

その衝撃を受けて返した呼応が今週の言葉だ。


 木村は、子供の頃はおてんばだった。ずっと鉄棒で回って、木登りをして木の上にいるのが好きな少女だった。学生時代から俳優を目指すようになった彼女は、バイトを掛け持ちしつつ、舞台の稽古をいくつも並行して行っていた。そんな彼女を心配していたのが、仲の良かった父だった。しかし、彼女が21歳の時に急逝してしまう。


「母から父を奪ってしまったんじゃないかっていう自責の念がずっと20代は占めてましたね。自分が幸せになることが許されないっていう感覚が強かったし、笑ってることが許されないっていうか」(日本テレビ系「アナザースカイ」2024年1月13日)


 死因の一端に、自分への心労があったのではないかと自責の念を感じ、以降、約10年間、自分が許せず落ち込んでいた。そんなさなか、1999年放送のドラマ「リング~最終章~」(フジテレビ系)での山村貞子役で注目された結果、次々と「不幸」な役が舞い込むようになった。自分の心理状態と重なったため、「不幸な役が来てちょうど良かったのかもしれない」(同前)と彼女は振り返る。


 30代になって、ようやく「父は、私が不幸になるよりも、幸せになることを望んでいるんじゃないか」(主婦と生活社「CHANTO WEB」22年11月29日)と思えるようになった。そして彼女は、第1子の死という不幸を乗り越える夫婦をリリー・フランキーと演じた映画「ぐるりのこと。」(08年公開=配給ビターズ・エンド)で数多くの映画賞を獲得し、大きな転機となった。

「前は亡くなる役も多かったんですけど、最近は生き残れるようになってきました」(テレビ朝日系「徹子の部屋」16年11月17日)とちゃめっ気たっぷりに言う。


 50代になり「生活は安定しているし、今のままでいいやと思うことが増えてきて。この気持ちはきっと年々大きくなっていくに違いない、キケン!」(ては~とホールディングス「めりぃさん」23年4月10日)と感じ、毎年目標を立て何かに挑戦することに決めた。


 今は一念発起して歌のレッスンを受けている。なぜならミュージカルに挑戦するから。実はデビュー当時、ミュージカルに出演したが、歌に苦手意識があって、これまでは避けていたのだ。「歌を歌う前に、体を楽器にするっていうことから」(「徹子の部屋」26年6月11日)始めていると生き生きと語る彼女は「ロックの人」そのものだ。


(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)


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