【今週グサッときた名言珍言】
「授業の合間の10分休みとかに廊下に出て、『ハクナ・マタタ』を歌ってた」
(柿澤勇人/テレビ朝日系「徹子の部屋」6月26日放送)
◇ ◇ ◇
曽祖父と祖父が人間国宝という家に生まれた俳優の柿澤勇人(38)は、子どもの頃からサッカーに熱中していた。それに加えて、祖父たちを間近で見て「普通の仕事」ではないと畏怖の念があったため、芸能の仕事には興味がなかった。
その頃いかに夢中だったかを回想した一言が今週の言葉だ。教師や親に反対されても「僕これやります、多分できると思う」と“根拠のない自信”だけがあったのだ。
実際、「1回オーディション受けてダメだったらやめよう」(ほぼ日「ほぼ日刊イトイ新聞」2023年8月14日)と決意して受けた劇団四季のオーディションに見事一発合格。研究生となると、異例の早さで主演も経験し、念願だった「ライオンキング」にも出演を果たした。
「“自分は天才なんじゃないか”と本当に勘違いしていました」(双葉社「THE CHANGE」24年4月14日)と言うのも無理もない。しかし、そこからが“地獄”だった。
オーディションにことごとく落ちる日々が続いた。そんな中でようやく掴んだのが蜷川幸雄が演出する舞台「海辺のカフカ」だった。だが、稽古では毎日「ダメだ、ダメだ!」と否定され続け、鼻っ柱が折られた。劇団四季の美しく正しい世界観とは真逆。
事実、俳優を辞めようかとも思ったという柿澤は、蜷川に勉強不足だと指摘されたのを思い出し、その後、時間があれば映画を2~3本見て、音楽を聴き、本や戯曲を読み漁った。そんなガムシャラな日々を3年続け、再び蜷川幸雄と対峙する。「海辺のカフカ」の再演にキャスティングされたのだ。その最初の本読み。柿澤は並々ならぬ決意でそれに挑んだと冒頭の番組で明かしている。「蜷川さんにこれで成長してないなって言われたとしたら、もう降板しよう」と。すると本読みを聞いた蜷川は柿澤に言った。
「この3年の間、何があったの?おまえめちゃくちゃ芝居の質が良くなってるよ」
涙が出るほどうれしかったという。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

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