「現役世代の負担軽減」──。医療費削減をゴリ押しする高市政権の常套句だ。
政府は今月21日の閣議決定を目指す「骨太の方針」の原案に、国民所得に占める社会保険料負担を示す「社会保障負担率」の目標設定を検討すると盛り込んだ。現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく方針が念頭にある。
社会保障負担率を巡っては、自民党と日本維新の会が実務者協議で対立。具体的な数値目標を求める維新に自民が反発し、両者が合意した骨子案は〈社会保障制度が果たす機能を損なわないよう配慮しつつ、社会保障負担率の目標の検討を進め……〉に落ち着いた。
問題は、社会保障負担率の引き下げが負担軽減につながるのかどうかだ。分母となる国民所得は、賃金の総額に企業所得なども加えたもの。分母を増やすか、分子の社会保険料を減らせば、負担率は下がるが、ここに“落とし穴”がある。
「社会保障負担率は2024年の18.5%から、25年は17.8%、26年は17.6%と微減しています。強烈なインフレ経済で大企業を中心に企業業績が上がり、賃上げが進んだ結果、分母である国民所得が上昇しているからです。しかし、給料が上がっても同時に保険料率が上がるため、社会保障負担率が下がっても、個人や家計の負担軽減につながらない。
■命の沙汰もカネ次第
誇大宣伝は、自民と連立を組む維新の常套手段だ。維新が主導している通り、70歳以上の医療費負担を抑える「外来特例」を廃止しても、年間の医療費削減額は3400億円程度。保険料負担軽減効果は1人あたり月額で約160円に過ぎない。高額療養費の見直しやOTC類似薬の一部保険適用除外による負担軽減額を合わせても、1人たったの月300円だ。
「従来の医療保険制度を維持しつつ保険料負担を引き下げるなら、公費負担の割合を増やすべきです。6年連続で過去最高税収を記録しているのに、まったく還元していない。公的保険を削ったら、余裕のある人は民間保険で賄えますが、そうではない人にとっては『命の沙汰もカネ次第』になってしまいます」(本並省吾氏)
「負担軽減」なんて聞こえはいいが、結局は公的責任の放棄。カネがなけりゃ死ねってことか。
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