テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 そうですね、「震災とテレビ報道のあり方について」という、結構本質的な問題が問われているということだと思います。とても難しい話で、テレビ報道関係者の端くれとしていろいろと思うところはありますが、「じゃあどうするのか」という結論のようなものはなかなか簡単には出せないテーマでもあると思います。


 私自身、新人の頃に阪神・淡路大震災の現地取材で、復興作業関係者から取材について抗議を受けたり、同僚が避難所で被災者の方から怒られているのを目の当たりにしたこともあります。テレビ取材が被災地のみなさんにとって邪魔になったり迷惑である側面があることは間違いありません。


 テレビって結局、被災者の方にはあまり役に立たないことが多いんですよね。停電なら見られませんし、全国放送だと内容的にも大雑把なものばかりになってしまい、被災者の方が真に必要としている詳細な情報はあまり放送されない。どうにも役に立たないよな、と制作していても思います。


 10年前の熊本地震の時には、私はABEMAでニュース番組のプロデューサーをしていました。ちょうどABEMAの開局直後だったのですが、「スマホで震災報道が見られる」というので、被災者の方にずいぶんお使いいただけたという話を聞きました。そこで私もいろいろ考えて、ABEMAプライムという番組で2時間まるまる「被災者の方に伝言板として使ってもらう」という試みをしたことがあります。


 どこの避難所ではどんな物資がたりない、とか。どこどこ町のライフラインの状況はこんな感じになっている、とか。全国放送ではあるのですが、あえて被災地以外の人の目線は無視して現地情報に徹しました。これは実は阪神・淡路大震災の時に、「東京でもしこんな地震が起きたら」みたいな内容の放送をウチがしていたのを見て、心底腹が立ったからでもあります。

現地ではみんな苦しまれているのに「もし東京だったら」って何だよ!と思いました。


 もちろん全国の人に被災地のことを伝えるのも大切です。でも、有名キャスターが現地入りしたり、空撮がうるさかったりとかはやっぱり迷惑だと思いますよ。


 正解は出ないだろうけど、テレビ関係者が「本質的にはあまり役に立たない存在である」という認識を持って、いつも震災報道はどうあるべきかを考え続けて、少しでも内容を良くしていかなければならない、と心から思います。後輩たち、被災地報道たいへんだろうけど、ぜひよろしくお願いします。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


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